東京外国語大学言語モジュール

10.2. 記号類の呼び方

 次に母音記号の読み方です。

 

1. 母音記号の名称、呼び方 

 

ရေးချ [yé cʰâ ]母音記号「ာ/ါ」の名前。「書き下ろす」という意味。
ဝိုက်ချ [waiʔcʰâ ]母音記号「ာ」の名前。特に「ါ」と区別するときに使う。「丸く(書き)下ろす」という意味。
မောက်ချ [mauʔcʰâ ]母音記号「ါ」の名前。特に「ာ」と区別するときに使う。「盛り上がって(書き)下ろす」という意味。
လုံးကြီးတင် [lóuɴjí-tìɴ ]母音記号「ိ」の名前。「乗っけられた大きな丸」という意味。
လုံးကြီးတင်ဆန်ခတ် [lóuɴjí-tìɴ sʰàɴ-kʰaʔ ]母音記号「ီ」の名前。「乗っけられた大きな種付きの丸」という意味。
တစ်ချောင်းငင် [tă-cʰáuɴ-ŋìɴ ]母音記号「 ု」の名前。「1本刻む」という意味。
နှစ်ချောင်းငင် [hnă-cʰáuɴ-ŋìɴ ]母音記号「 ူ」の名前。「2本刻む」という意味。
သဝေထိုး [t̪ăwè-tʰó ]母音記号「ေ」の名前。意味や由来は不明。
နောက်ပစ် [nauʔpyiʔ ]母音記号「ဲ」の名前。「後ろに投げる」という意味。
ရှေ့ထိုး [ɕê-tʰó ]母音記号「်」の名前。「前に書き入れる」という意味。

2. 声調記号

 声調記号は次の二つですが、呼び方が複数あります。下に挙げているのは一番よく使われるものです。

အောက်မြစ် [ʔauʔmyiʔ ]声調記号「့」の名前。「下にある根」という意味。 ※ 通常はʔauʔkâ-myiʔ〈အောက်ကမြစ်〉と呼ばれる。意味は同じ。
ဝစ္စ(နှစ်လုံး)ပေါက် [wiʔsâ(hnălóuɴ)pauʔ ]声調記号「့」の名前。 ※ ɕêɡâ-pauʔ〈ရှေ့ကပေါက်〉, ɕêzí〈ရှေ့ဆီး〉, wiʔt̪iʔzănì〈ဝိသဇ္ဇနီ〉という名もある。

3. 末子音化記号・特別な末子音記号 

အသတ် [ʔăt̪aʔ ]末子音化記号「်」の名前。「殺し」という意味。
သေးသေးတင် [t̪éd̪é-tìɴ ]末子音記号「ံ」の名前。「乗っけられた小さなもの」という意味。大きな丸「ိ」lóuɴjí-tìɴに対して「小さい」ということ。
ကင်းစီး [kíɴzí ]末子音字化された「င်」が重ね文字になった形「င်္」の名前。「節足動物が乗っている」という意味。

 ʔăt̪aʔ〈အသတ်〉は子音字について末子音を表す綴りに変化させる記号。現代では形が「ေ」[ɕêtʰó]〈ၕှေ့ထို့း〉と同じ形になってしまっていますが、機能が違いますので、呼び名も異なります。「殺し」というのは、子音字に内在する母音-âを「殺す」=削除する、ということです。

 t̪éd̪é-tìɴ〈သေးသေးတင်〉は[-aɴ]を表す特別な記号です。本質的に-မ်と同じです。

 kíɴzí〈ကင်းစီး〉は、子音字 င [ŋâ]に末子音化記号 ် が付いたものが、重ね字になるときに現れる特別な字形です。(今は名前だけを覚えて下さい。)

 

 ʔăt̪aʔ〈အသတ်〉は具体的に子音字と結び付いて~t̪aʔと呼ばれます。例を挙げます。

ယပက်လက်သတ် [yâ-pălɛʔ-t̪aʔ ]末子音綴り「ယ်」の呼び方。yâ-pălɛʔ(ယの名前)に末子音化記号 ʔăt̪aʔが付いたもの。
တဝမ်းပူသတ် [tâ-wúɴbù-t̪aʔ ]末子音綴り「တ်」の呼び方。tâ-wúɴbù(တの名前)に末子音化記号 ʔăt̪aʔが付いたもの。
မ,သတ် [mâ-t̪aʔ ]末子音綴り「မ်」の呼び方。mâ〈မ〉には名前がないので、このような呼び方になる。

4. 句読点

 句読点には「။」と「၊」があります。大まかに言って「။」は句点、「၊」が読点ですが、「။」にはは括弧のような使い方もあります。

ပုဒ်မ [pouʔmâ ]句点を表す記号「။」の名前。
ပုဒ်ကလေး [pouʔkʰălé ]読点を表す記号「၊」の名前。 ※ pouʔpʰyaʔ〈ပုဒ်ဖြတ်〉という名もある。