東京外国語大学言語モジュール

7. 軽音節に関する様々な現象

 軽音節は母音の音色及び声調を失った音節で、母音は常に-ăとなります。若干の例外を除いて介子音Cmは脱落し、また末子音を伴うことはありません。単独では現れ得ず、後ろに必ず別の音節を伴って現れます。軽音節の形態素もありますが、必ず拘束形態素(付属語)です。

 

 軽音節母音の実際の聞こえは典型的には[ä]ですが、語彙によっては[ɛ̈]や[ɪ̈]と聞こえることがあります(e.g. sʰăyà [sʰä̆ʝɑ̀~sʰɛ̈̆ʝɑ̀~sʰɪ̈̆ʝɑ̀] «ဆရာ»「先生」、blauʔ [bä̆lɑ̆ʊʔ~bɛ̈̆lɑ̆ʊʔ] «ဘယ်လောက်»「どれくらい」)。またmôuɴhíɴɡá〈မုန့်ဟင်းခါး〉「モヒンガー」の第一音節môuɴはほぼ軽音節と同程度の軽さで発音される([môʊ̃~moʊ̃~mŏ])。現代ではこれがさらに進んで母音が脱落した[mwĩ́ɡá]という発音さえあります。

မ- [mă- ]否定接頭辞
အ- [ʔă- ]名詞化接頭辞
တ- [tă-~dă- ]副詞形成接頭辞
ဗမာ [bămà ]ビルマ、ミャンマー
ပြဒါး [byădá~bădá ]水銀
မြန်မာ [myămà ]ミャンマー、ビルマ
ဗြဟ္မာ [byămà ]ブラフマー、梵天 < Pali brahmā
ပထမ [pătʰămâ ]第一