東京外国語大学言語モジュール

解説


1.13で,-i,-n,-ngで終る音節がアル化するときはi,n,ngをとってから舌をそらせると説明しましたが,例えば“jīr”のような単母音のiを含む音節からiをとってしまうと“jr”となってしまい,発音不可能になってしまいます。このような場合,jīを言ってすぐに舌をそらせるのですが,そうするとjīの後に自然にあいまい母音が入ります。inr,ingrもnやngをとってから舌をそらせるのでirと似た発音になります。このように,舌をそらせると自然にあいまい母音が入るアル化の音節は他にも多くあります。単母音のüがアル化したürもそうなりますし,その後にnやngが続くünやiongのアル化ünr,iongrもn,ngをとってから舌をそらせるので似た発音になります。また「エ」に近く聞こえるie,üeの中のe,またei,en,wei,wenの中のeも,アル化してier,üer,eir,enr,wenrになると(eir,enr,weir,wenrのiやnはとってから舌をそらせる),もはや「エ」でなくあいまい母音になります。一方,-ar,-or,-ur等はもとの音を残したまま舌をそらせることができます。但しuirとunrは,単にi,nをとって舌をそらせたurになるのではなく,意識的にあいまい母音を入れて下さい。またzhir,chir,shir,rir,zir,cir,sirの中のiもあいまい母音に変えてから舌をそらせて下さい。