東京外国語大学言語モジュール

解説

まずa,ai,anの中のaを練習します。口をある程度大きく開けながら笑顔を作って下さい。(目は笑っていなくてもかまいませんが,口は笑っていて下さい。鏡を見ながら練習すると効果的でしょう。)そのまま声を出すと明るい音色の「ア」が出ます。これが単母音のaの音です。単母音のaを言ってほとんど口を動かさない気持ちで一気に「アイ」といえばaiの音になります。「ア」と「イ」を区切らないですばやく言うのがコツです。anは1.7で説明したように,単母音のaを言ってすぐにnで止めるつもりで言います。

次にao,angの中のaを練習します。風邪をひいて病院で喉の奥をみせるつもりで声を出せばこの音になります。鏡で自分の「のどひこ」を見ながら声を出すのもよいでしょう。単母音のaより奥まった響きがします。この音を言ってほとんど口を動かさない気持ちで一気に「アオ」といえばaoの音になります。「ア」と「オ」を区切らないですばやく言うのがコツです。angは1.7で説明したように,この音を言ってすぐにngで止めるつもりで言います。

(周殿福、吴宗济编著《普通话发音图谱》1963,商务印书馆 より)

日本語との対比: 中国語話者は日本語のエ段の音をしばしばaiで代用します。aiはそれほど一体化しているわけで,逆に日本語の「アイ」は彼らにとってあまりaiには聞こえないのでしょう。同様に中国語話者は日本語のオ段の音をしばしばaoで代用します。aoもそれだけ一体化しており,逆に日本語の「アオ」は彼らにとってあまりaoには聞こえないのでしょう。