東京外国語大学言語モジュール

5.3. k, g
 kは無声軟口蓋破裂音[k]で、gは有声軟口蓋破裂音[g]で実現します。5.1で示した[p]同様、帯気音化した[kʰ]が音環境によって実現しますが、体系的には無声・有声の対立としての音素/k/と/g/になります。
 /k/は母音調和の影響を受けて、前舌母音群と共起するときは口蓋化した[kʲ](あるいは人によっては後部硬口蓋(高口蓋、後寄り(補助記号:下部についた-)の硬口蓋)が調音位置となる[c̠]で実現することがあります。これは3.2.1.3で示した子音調和と呼ばれる調音位置(調音点)同化による音声学的現象です。
kel, gel, keçe, geçe
akmak, ekmek
dik, lig
 また、kâは[kʲa]、gâは[gʲa]のように実現します。この音環境で実現する[kʲ][gʲ]については、/k/や/g/とは別音素(例えば/κ//ɢ/)を立てるほうがよいと思われます。ただし、前舌母音群と共起した際に実現する[kʲ][gʲ]については、後舌母音群と共起した際の[k][g]との相補分布を考慮して、/k/や/g/という音素における異音と解釈すべきでしょう。 
kaka, gaga, yonga
kar, kâr, gar, rüzgâr