東京外国語大学言語モジュール

6.1. アクセント総論
 トルコ語の基本的なアクセントパタンは、語の最終音節が強く高く聞こえるパタンです。この点をもう少し細かく見てみます。
 アクセントを一般音声学的に考えると、「強さ・高さ・長さ」といった3つの要因が重要です。これらのうちどれか1つだけ特徴的だというわけではなく、多くの言語ではこれら3つの要因が複雑に絡み合わさって出てくるものです。
 では、トルコ語ではどうでしょうか。
 「強さ」に関しては、弱母音の存在と頂点が1か所であるという2点が重要です。換言すれば、原則的に単語内において相対的に1か所強く聞こえ、後は弱く聞こえるということです。トルコ語では原則的に語の最終音節に特徴があるという点で頂点は1か所ですが、頂点以外の母音は弱化しません。「高さ」に関しては、語の最終音節は高く聞こえます。「長さ」に関しては、頂点となる音節の母音はそれ以外の音節の母音より物理的には長くなっていますが、普通の人の耳では長いと意識する長さではありません。
 これらの点から総合的に解釈すると、トルコ語のアクセントは音声学的には「強さアクセント」的特徴と「高さアクセント」的特徴の両方の特徴を部分的に兼ね備えているということになります。そこで、両方の呼び方をあわせた「つかさアクセント」という言い方が現実を捉えているように考えられます。