東京外国語大学言語モジュール

5.12. l
 lは有声歯茎側面接近音[l]で実現します。lは母音調和の影響を受けて、前舌母音群と共起するときは、通常のl(いわゆる、明るいl:light l)だけでなく、硬口蓋化した[lʲ](あるいは人によっては前部硬口蓋が調音位置となる[ʎ])で実現することがあります。また、後舌母音群と共起するときは、多くの場合、軟口蓋化した[ɫ](いわゆる、暗いl:dark l)で実現します。これは3.2.1.3で示した子音調和と呼ばれる調音位置(調音点)同化による音声学的現象です。よって、これらの音は母音調和による相補分布が成立した条件異音の関係にあり、音素/l/としてまとめられます。
 なお、aと共起するlが暗いlではないことを示すために、現在の表記法ではlâを表記します。この場合、âは主として長音ではなく、直前のlが通常のlであることを示すための表記となります。
lâpa, limon
tatlı, gelecek, başlık, gözlük
dilbilim, kollu, altın
dal, dil, kabul, bul