東京外国語大学言語モジュール

解説

   日本語のリズムは拍(モーラ)を基本的な単位としています。日本人にはすべての拍が同じ長さだと知覚されます。
   このような拍とアクセントとの関係をよく調べてみると、「っ」、「ん」、「ー」、二重母音の第2要素のような特殊拍にはアクセント核が来ないことがわかっています。例えば、「ほん(本)」のアクセント型がわからなくても、この規則から判断すれば、アクセント核が「ん」に現れないことが分かります。実際に「本」のアクセント核は1拍目の「ほ」にありますが、それも、「ほ・ん」が2拍であるということを認識したうえでないと、聞き取りづらくなります。「しんぶん(新聞)」という単語は、「し(低)・ん(高)・ぶ(高)・ん(高)」のようになりますが、日本語学習者の中には「しん」と「ぶん」の2つに分け、「しん(低)・ぶん(高)」のように発音する人がいますので、注意しましょう。特殊拍が入っている言葉を練習する時は、拍数とアクセント核の位置に気を付けながら練習しましょう。
   なお、母語のアクセントが強さアクセント(例:英語、ドイツ語、ロシア語など)の人が日本語を発音する時は、アクセント核の拍を強く言う傾向があります。しかし、そのように強く発音した拍は、長く伸びて、長音のように聞こえてしまいますので、注意しましょう。