東京外国語大学言語モジュール

解説

   2つの名詞が複合して1つの名詞になった場合のアクセント型は、複合した2つの単語を別々に言うときと同じアクセント型をそれぞれ保つということはありません。別々に言う時はそれぞれアクセント核があっても、1つの単語に複合した場合はアクセント型が変わります。1つの名詞には1つのアクセント核しかありえないからです。例えば、前部要素 「る(春)」 と後部要素 「すみ(休み)」 が複合して「春休み」となった場合は、アクセント型は「はるやすみ」ではなく、 「るやすみ」 となります。
   複合名詞のアクセント型はある程度の規則がありますので、まず規則を覚えて、それから規則に当てはまらないものだけを個別に覚えていけば、習得が楽になります。複合名詞のアクセント型の規則を表にまとめます。

後部要素の拍数
条件
複合名詞の
アクセント
後部要素が1拍、2拍
ほとんどの場合
アクセント核は前部要素の最後の拍。
(ただし、前部要素の最後の拍が特殊拍の場合、1つ前の拍に移動する。)
うべ+→こうべし(神戸市)
んだい+→せんだいし(仙台市)
ぶや→しぶやく(渋谷区)
うとう→こうとうく(江東区)
んじゅくき→しんじゅくえき

うきょうき→とうきょうえき
少数(後部要素の例:「語」「色」「課」
「中」「科」「家」
「製」「代」「的」
など)
平板型
ちゅうごく+→ちゅうごくご(中国語)
どり+い→みどりいろ(緑色)
くせい→がくせいか(学生課)
ぜん+ちゅう→ごぜんちゅう(午前中)
後部要素が3拍、4拍
後部要素が平板型アクセント、尾高型アクセント アクセント核は後部要素の1拍目 んな+ことば→おんなことば(女言葉)
+やすみ→なつやすみ(夏休み)
ロ+やきゅう→プロやきゅう(プロ野球)
後部要素が頭高型アクセント、中高型アクセント 後部要素のアクセント核と同じ さ+はん→あさごはん(朝御飯)
りつ+としょかん→しりつとしょかん
(市立図書館)
後部要素が5拍以上
ほとんどの場合
後部要素のアクセント核と同じ まだ+しょうがっこう→やまだしょうがっこう(山田小学校)
んじょうび+プゼント→たんじょうびプレゼント(誕生日プレゼント)