東京外国語大学言語モジュール

解説

ポルトガル語の単語にはアクセントを有する強勢語無強勢語があります。無強勢語は前置詞や冠詞,目的語の人称代名詞などで,このような語はアクセントを有する語と組になって発音されます。いわゆる,普通の単語と考えてよい,強勢語のアクセントは語末,語末から数えて2番目または3番目の音節のうちのいずれかにあります。アクセントは強弱により,アクセントを有する母音は長めに発音されます。
現在の正字法ではアクセントの位置がわかるようになっています。アクセント記号が用いられているときはそこにアクセントがありますが,次の場合にはアクセント記号は用いられません。

(1) 語末の音節にアクセントのある語で,その語末の音節が
« -l, -r, -z » で終わっていたり,
② 二重母音 « ai, ei, oi, ui, au, eu, ou, iu » や鼻母音 « ã, ãe, ão, õe » (s が続くことがある),
« i, u » (s, m, ns が続くことがある) で終わっているとき。

1. animal 動物
2. falar 話す
3. cartaz ポスター
4. animais animalの複数形
5. amei amar「愛する」の完全過去・1人称・単数
6. depois その後で
7. constitui constituir「構成する」の現在形・3人称・単数
8. carapau 魚のアジ
9. vendeu vender「売る」の完全過去・3人称・単数
10. deixou deixar「残す」の完全過去・3人称・単数
11. partiu partir「出発する」の完全過去・3人称・単数
12. ale alemão「ドイツの」の女性形・単数
13. mãe
14. mão
15. razões razão「理由」の複数形
16. aqui ここに
17. algum 何か

 上の三つの場合が重なることもあります。-l, -r, -zの前には二重母音は現れません。また,アクセント記号をつけることで二重母音としての組み合わせが可能な母音の組み合わせでも二重母音ではなく,2つの母音が続いて2音節を形成する連続であることを示すことが出来ます。

1. sai 彼は出かける saí 私は出かけた
2. pais 両親 país
3. saia sair「出る」の接続法現在・1,3人称・単数
  saía sair「出る」の不完全過去・1,3人称・単数

aiは二重母音なので,そのままではaを強く読む。saíやpaís,saíaはiを強く読む単語なのでiの上にアクセント記号をつけなければいけない。

1. paul 沼地
2. atrair 引きつける
3. juiz 裁判官

au, ai, uiは二重母音としても可能な組み合わせですが -l, -r, -zの前ですからuやiを強く読みます。
次のような例でもやはり二重母音とはなりません:

1. rainha 女王
2. moinho 製粉機
3. ruim ひどい


(2) 語末の音節が,上の(1)の ①,②,③ のいずれにもあてはまらず,語末から2番目の音節にアクセントがあるとき。

1. ramo
2. rapariga
3. cerveja ビール
4. cinzeiro 灰皿
5. economia 経済

 語末から3番目の音節にアクセントのある語のすべてとアクセントが2番目の音節にあり,語尾が上の(1)の ①,②,③ のいずれかにあてはまるときや,アクセントが語末の音節にあっても,①,②,③ のいずれにもあてはまらないときにはアクセント記号が用いられます。

1. vida 疑い
2. ecomico 経済的な
3. anúncio 告知
4. cil 易しい
5. autovel 自動車
6. japonês 日本人
7. a 〜まで