東京外国語大学言語モジュール

5.1. 子音体系の概略
 子音は全部で20あり,それらは/p, t, c, k, ʔ, ph, th, kh, b, d, m, n,  ɲ, ŋ, f, s, h, l, w, y /です。すべてが頭子音として成り立ちます。
 その中では、/p//ph/,/t//th/,/k//kh/という,無気音と有気音の対立があるのが特徴です。 /p,t,c,k/はいずれも硬音(fortis)で,閉鎖が硬く,破裂は急激です。/ʔ/は/p,t,c,k/と比較して閉鎖も破裂もやや緩やかです。一方,/ph,th,kh/はいずれも軟音(lenis)で,閉鎖はゆるく,破裂も緩やかです。/m,n,ɲ,ŋ,/はいずれも閉鎖が強いためか,解放の際,弱い破裂的な反響音(percussion)が聞こえることがあります。
 末子音は,/p,t,k,ʔ,m,n,ŋ,w,y/の9子音です。
 また,子音字連続形式はありますが,音韻としての子音結合は存在しません(後述7.4.3.)。