東京外国語大学言語モジュール

3. 音節
 ラオス語は単音節声調言語です。基本的な語は,ほとんどが一音節語で,音節全体に音の高低の調子である声調がかかります。
 音節はまず次の三要素に分けられます。

  1) 頭子音:音節初頭の子音
  2)   韻  : 音節主核母音と任意的な音節末子音から構成。母音が長母音,あるいは二重母音のときは末子音は任意。短母音の時は原則として常に末子音を要求。
  3) 声調  :1),2)の全体にかぶさる超分節的特徴。
 
 次にラオス語の音節構造について述べます。
 頭子音をC1,短母音をV,長母音あるいは二重母音をVV,末子音をC2,声調記号をT とすると,次のように書き表すことができます。
 
   C1VC2/T  → /bǔn/ → ບຸນ  「祭」
   C1VV(C2)/T →  /bâan/ → ບ້ານ 「村」(C2は任意)
ບຸນ  [/bǔn/ ]
ບ້ານ  [/bâan/ ]
 
  ところで,声調の分布を考える際に,母音の長短や末子音の有無だけが問題なのではなく,韻の種類である「平韻」と「促韻」の区別が重要な点になります。平韻とは,末子音がゼロか,もしくは/m,n,ŋ,y,w/のいずれかである韻,促韻とは,末子音が/p,t,k,ʔ/のいずれかである韻のことです。平韻を持つ音節を「平音節」といい,促韻を持つ音節を「促音節」と言います。この点については,後の7.4.2.2.で詳述します。