東京外国語大学言語モジュール

8. イントネーション
 ラオス語文において,イントネーションの音韻的な取り扱いについては,ラオス語は声調言語なので,なお一層の検討が必要かと思われます。ここでは平叙文と疑問文において次のような傾向が認められることのみふれておきます。
 
(1)平叙文
 平叙文では,文末の「自立語」,あるいは「付属語+自立語」部分に,特に声調保持の傾向が強いようです。言い換えると一般に,文中においては,声調は前述の記述にかかわらず,なだらかに平滑化される傾向がありますが,文末の位置ではそのようなことはなく,むしろ各声調の特徴が誇張されるように聞こえる傾向すら見受けられます。
ລາວໄປໂຮງຮຽນ      / láaw pǎy hóoŋhían /彼は学校へ行きます
 
(2) 疑問文
 文末に置くことによって疑問文をつくる疑問助詞と否定辞は,/bɔɔ/[bɔɔ33]という,同じ語を使用するのですが,疑問助詞として文末に置くと,[bɔɔ34]と発音されることがよくあります。つまり,「はい」あるいは「いいえ」の答えを要求する諾否疑問文の場合,尻上がりに少し上昇する傾向があると言うことができます。
ລາວໄປໂຮງຮຽນບໍ່?   / láaw pǎy hóoŋhían bɔ́ɔ /彼は学校へ行きますか?