東京外国語大学言語モジュール

3. 音節とモーラ
 アラビア語は,日本語と同じように各モーラが均等の長さを持っている言語です。そのため,このモジュールではモーラと拍を同じ意味で使うことにします。
 子音をC,母音をVとして,現代標準アラビア語の音節と拍の関係を表すと,以下の表のようになります。それぞれの音節の間のスペースは,拍の境界を表しています。
音節
1拍
 CV
  /ʔa/
「~ですか?」
أ
2拍
 CV  C
  /ʔa   b/
「父」
أب
 CV  ː
  /ma ː/
「何」
ما
3拍
 CV  C  C
  /da  r  s/
「レッスン」
درس
 CV  ː  C
  /ba ː b/
「門,ドア」
باب
4拍
 CV  ː  C  C
  /ħa ː r   r/
「暑い」
حار
 上記の六つの音節のうち,3拍の音節(CVCC,CVːC)と4拍の音節(CVːCC)は,基本的に語末にしか現れません。
 現代標準アラビア語には,子音連続(CC)ではじまる音節はありません。そのため,子音連続ではじまる音節があらわれると発音が不可能なため,補助母音を挿入するなど音節の調整が行われます。ここでは,そのような音節の調整を見ていくことにします。