21世紀COEプログラム 言語運用を基盤とする言語情報学拠点(2002-2006年度)

フィールド調査

フィールドワーカーとしての言語教育研究者

教員の指導のもとで大学院生が日常会話に関わる談話素材をそれぞれの国でフィールドワークを行って収集する。フィールドワークを行うにあたっては,本研究科の海外協定校とのパイプ等を活用する。大学院生は2~3週間程度現地に滞在し,予め決められた状況や運用場面における言語実態調査を行う。フィールドワークを通して,言語運用能力のみならず,総合的な判断能力や問題解決能力も併せて身につけさせる。


対象言語・
調査地
マレーシア語
於マレーシア(クアラルンプール)
調査者 正保勇(外国語学部教授),鵜沢洋志(博士後期課程),野元裕樹(博士前期課程)
実施時期 2004年11月18日~2004年12月7日
実施内容・
成果
本調査では、「自然会話によるコーパス作成」をテーマに、マレーシア(クアラルンプール)にて、二者間の会話録音を行った。インフォマントとして大学生20名(男6女12)に、二人一組となってもらい、一組当たり3時間の会話録音に参加して頂いた。会話については、条件統制としてテーマを選んでもらい、それを含めるという条件の下、総時間およそ30時間の録音を行った。現地における協力は、マレーシア国民大学(Universiti Kebangsaan Malaysia)に依っており、同大学助教授Dr. Zaharani Ahmadを中心として、録音の全ての面における助力を頂いた。録音メディアはICレコーダ(同時に、録音ブースの設備によるCDでの録音)を用い、全ての音声データをデジタル化し、保存している。

現在、音声データはPCハード内、及びCDにて保存されているが、今後それらを文字化し、テキストデータを作成することで「自然会話によるコーパス」を作りあげる。目下、現地協力者にも継続して助力頂き、文字起こしの作業を進行中である。

対象言語・
調査地
スペイン語
マドリード(スペイン)
調査者 高垣敏博(外国語学部教授),木越勉(博士後期課程),結城健太郎(博士後期課程)
実施時期 2004年12月15日~2004年12月30日
実施内容・
成果
本調査班はスペイン国のマドリードにて,46人のスペイン語話者のインフォーマントに対し,合計28時間29分間に及ぶ録音・録画を行った。インフォーマントは20代から60代の男女で,職業は学生,教師,主婦,記者,客室乗務員などに及ぶ。録音・録画の対象になったのはモノローグ,自由会話,インタビューなどで,テーマは日本に関するものの他,生活,文化,歴史,宗教,科学などを含んでいる。これらのすべてのデータは全てデジタル化され,一部のデータについては文字化を行っている。これらに加えて,インフォーマントと個別の会話のメタデータも記録され,今後の研究に利用される。なお,本調査にあたってはインフォーマントと文字化のための人員の募集また収録場所の提供などについてマドリード自治大学(Universidad Autónoma de Madirid)の東アジア研究センター(Centro de Estudios de Asia Oriental)の,一部収録データのデジタル処理について同大学コンピュータ言語学研究室(Laboratorio de Lingüística Informática)の協力を受けている。

対象言語
ロシア語
調査者 中澤英彦(外国語学部教授),恩田義徳(博士前期課程)・佐藤修(博士前期課程)
実施時期 2004年12月16日~2004年12月31日
実施内容・
成果
インフォーマント:
モスクワ大学関係者(学生、職員など)を中心に9組18名。10代から50代までの年齢層があるが、10代後半から20代前半の大学生が中心。また一部小学生もいるが、時間的には少数。インフォーマント間の関係は友人、夫婦、同僚など。

録音の場所:
モスクワ大学内一般教室、LL教室、およびインフォーマント個人宅、コーディネーター宅を使用。部分的に雑音の入ったところもあるが、全体として音質は良好。参考として室内の様子をデジタルカメラにて撮影。

会話形式:
2人のロシア人による対話。会話のきっかけとしてあらかじめテーマを与える。日本に関するテーマのほか、会話のし易い、一般的テーマを20ほど用意。また一回の会話を30分とし、時間ごとに新たなテーマについての会話をしてもらう。また各会話のはじめに録音日やテーマ、インフォーマントの名前等の情報を録音。

録音機材:
DATレコーダーを使用。外付けのステレオマイクを併用。1会話につき1台で録音。レコーダーの動作不良により音声が片側のみとなってしまった部分があった。(およそ1.5時間)また、時間的制約により、同時に複数組の録音をする場合もあった。その際、録音済みのテープ管理に若干混乱が生じた。帰国後音声データをパソコンに取り込み、バックアップとしてCDに保存。

総録音時間:
全体でおよそ36.5時間を録音。日本に関するテーマでの会話を10時間以上含む。