21世紀COEプログラム 言語運用を基盤とする言語情報学拠点(2002-2006年度)

フィールド調査

フィールドワーカーとしての言語教育研究者

教員の指導のもとで大学院生が日常会話に関わる談話素材をそれぞれの国でフィールドワークを行って収集する。フィールドワークを行うにあたっては,本研究科の海外協定校とのパイプ等を活用する。大学院生は2~3週間程度現地に滞在し,予め決められた状況や運用場面における言語実態調査を行う。フィールドワークを通して,言語運用能力のみならず,総合的な判断能力や問題解決能力も併せて身につけさせる。


対象言語・
調査地
スペイン語
於 マドリード(スペイン)
調査者 高垣敏博(外国語学部教授), 結城健太郎(博士後期課程), 松井健吾(博士後期課程), 臼井新(博士後期課程)
実施時期 2006年12月13日~2006年12月23日
実施内容・
成果
本調査ではマドリードにおけるスペイン語話し言葉の音声・映像データを取得した。マドリード自治大学(Universidad Autónoma de Madrid)の東アジア研究センター(Centro de Estudios de Asia Oriental),木村千栄子教授ならびに阿部新助教授の協力を受け,インフォーマントとして合計32名,10代から40代の男女がこの調査に参加した。会話の形態は二人もしくは三人の母語話者が参加する自由会話とインタビューであり,事前のテーマ設定などは行っていない。収録はICレコーダとデジタルビデオカメラを用い,合計約32時間分の音声・映像データを取得した。それぞれのデータはデジタル化されHDD並びにDVDに記録されている。現在これらの映像データのうち約5時間分をスペイン語母語話者が文字化している。なお,この文字化はマドリード自治大学コンピュータ言語学研究室(Laboratorio de Lingüística Informática)で使用している方式を簡素化したものを用いている。


対象言語・
調査地
台湾国語
於 台湾(中華民国),台北県淡水鎮 淡江大学
調査者 林俊成(外国語学部助教授),黄詩淑(博士後期課程), 林虹瑛(博士前期課程),須藤秀樹(博士後期課程)
実施時期 2006年12月16日~2007年1月6日
実施内容・
成果
本調査は,台湾(中華民国)台北県淡水鎮 淡江大学において行われた。
淡江大学では彭春陽助教授(日本語学科主任)・堀越和男助理教授の全面的な協力があり,理想的な録音環境を得ることができた。
インフォーマントとして音声の吹き込みを行ったのは淡江大学外国語学部日本語学科の学部生・大学院生54名(女性39名男性15名)である。二人一組で約1時間ほど自由に会話をしてもらい,それを録音した。
録音はICレコーダを用い,16bit/ 44.1KHzというオーディオCDと同じフォーマットで,非圧縮形式で録音を行った。全ての音声データはハードディスクに保存されている。
総録音時間は約33時間である。そのうち約30時間分の録音の文字転写を行う予定である。現在, 威立活動顧問有限公司(Willy Event Consultans)によって文字転写が行われており,2007年2月中旬には全ての文字転写作業が終了する予定である。


対象言語・
調査地
台湾国語
於 台湾(中華民国) 国立台湾大学,国立清華大学,東呉大学,銘傳大学
調査者 望月圭子(外国語学部教授), シア・ティエンミン・テレンス(博士後期課程), 蔡松益(博士前期課程)
実施時期 2006年12月23日~2007年1月6日
実施内容・
成果
 本調査は,台湾(中華民国)の 国立台湾大学、国立清華大学、東呉大学、銘傳大学の四大学において行われた。
 趙順文教授(国立台湾大学)、服部美貴講師(国立台湾大学)、連金發教授(国立清華大学)、湯廷池教授(東呉大学)、楊煜雯講師(銘傳大学)の全面的な協力があり,理想的な録音環境を得ることができた。
 インフォーマントとして音声の吹き込みを行ったのは、国立台湾大学、国立清華大学、東呉大学、銘傳大学の四大学の教授、講師及び卒業生、大学院生、学部学生である。二人一組で30分~1時間前後ほど自由に会話をしてもらい,それを録音した。 録音はICレコーダを用い,16bit/ 44.1KHzというオーディオCDと同じフォーマットで,非圧縮形式で録音を行った。全ての音声データはハードディスクに保存されている。
全録音時間は約13時間である。これら全ての録音の文字転写を行う予定である。現在, 威立活動顧問有限公司(Willy Event Consultans)によって文字転写が行われており,2007年2月下旬には全ての文字転写作業が終了する予定である。


対象言語・
調査地
フランス語
於 フランス共和国(パリ)
調査者 川口 裕司(東京外国語大学教授), 秋廣 尚恵(高等実習研究院ポストドクター),
Françoise Lorant Goossens (パリ13大学非常勤講師)
実施時期 2006年2月2日~2006年3月1日
実施内容・
成果
様々な民族から構成されるパリのフランス語の多様性(音声・統語・語彙)を 社会言語学および会話分析の見地から研究することを目的として自然会話の録音を行った。インフォーマント はいずれも若い年代層からなる。録音・文字転写には現地協力者である秋廣 尚恵氏とFrançoise Lorant Goossens氏が努力された。

対象言語・
調査地
日本語, 英語, フランス語
於 カナダ(バンクーバー)
調査者 時田 朋子(博士後期課程)
実施時期 2006年2月19日~2006年3月28日
実施内容・
成果
カナダのバンクーバーに住む日系人の自然会話の録音を行った。録音時間は4時間弱である。日本語と英語あるいはフランス語のバイリンガリズムを記述し、分析するために重要なコーパスである。


対象言語・
調査地
トルコ語
於 トルコ共和国(イスタンブール)
調査者 Selim Yılmaz(マルマラ大学助教授), Arsun Uras Yılmaz(イスタンブール大学助教授)
実施時期 2006年6月8日~2006年6月29日
実施内容・
成果
前年度の予備調査に続いて実施された共和国トルコ語の自然会話の録音である。インフォーマントはマルマラ大学の大学院生と語学学校教師の10名で教育・文化・休暇など様々なテーマの会話がある。録音はマルマラ大学助教授の Selim Yılmaz 氏とイスタンブール大学助教授の Arsun Uras Yılmaz 氏が行った。現在、音声データの文字化を行っている。