21世紀COEプログラム 言語運用を基盤とする言語情報学拠点(2002-2006年度)

フィールド調査

フィールドワーカーとしての言語教育研究者

教員の指導のもとで大学院生が日常会話に関わる談話素材をそれぞれの国でフィールドワークを行って収集する。フィールドワークを行うにあたっては,本研究科の海外協定校とのパイプ等を活用する。大学院生は2~3週間程度現地に滞在し,予め決められた状況や運用場面における言語実態調査を行う。フィールドワークを通して,言語運用能力のみならず,総合的な判断能力や問題解決能力も併せて身につけさせる。


対象言語・
調査地
トルコ語
於 トルコ共和国(イスタンブール)
調査者 川口裕司(外国語学部教授),Selim Yılmaz(マルマラ大学助教授)
実施時期 2005年6月22日~2005年6月26日
実施内容・
成果
本調査は来年度に実施を予定している本調査のための予備調査として、共和国トルコ語の自然会話の録音をおこなった。インフォーマントはマルマラ大学の大学院生5名(男性2名、女性3名)であり、二人一組になってもらい、適当なテーマを与えて、会話を録音した。録音の総時間はおよそ5時間である。現地では、マルマラ大学(Marmara Üniversitesi)助教授で、話ことば分析の専門家である Selim Yılmaz 氏の全面的な協力を得ることができた。録音はICレコーダを用い、全ての音声データをデジタル化し、保存している。音声データはハードディスク及びCDにて保存されている。現在、インフォーマント自身による会話の文字起こしが鋭意進められており、10月には、ほぼ半分の転写が完了し、Yılmaz 氏が全体のチェックを行っている。

対象言語・
調査地
フランス語
於 フランス共和国(エックス・アン・プロヴァンス)
調査者 佐野敦至(福島大学教授),秋廣尚恵(EPHEポストドクター課程),
中田俊介(博士後期課程),小川敬洋(博士前期課程)
実施時期 2005年7月1日~2005年7月16日
実施内容・
成果
インフォーマント:現地協力先であるプロヴァンス大学関係者およびその家族、知人を中心とした38名からなる。職業は教員、学生、大学職員、団体職員、書店・不動産仲介店・旅行代理店等の店員などである。年齢層は10代~80代で、エクス=アン=プロヴァンスおよびマルセイユ近郊居住者からなる。

会話の形式:友人や家族同士の会話、インタビュー、議論などから構成される。インタビューは仕事の内容について、会話や議論はあらかじめ対話者同士の決めたテーマによって行った。会話参加者の人数は2人が中心だが、3人以上の会話も含まれている。

録音時間および会話数:録音時間は16時間12分、会話数は55からなる。

録音方法:ICレコーダを用い、大学研究室・会議室・執務室、各種店舗内、各住居室内にて録音を行い、WAV形式の音声ファイルとして保存している。

対象言語・
調査地
パラウン語ナムサン方言
於 ミャンマー国(ナムサン町)
調査者 インインメイ(博士後期課程)
実施時期 2005年7月28日~2005年8月12日
実施内容・
成果
ミャンマーのマンダレー市からナムサン町に入り、ナムサン県およびバヤジ村にてパラウン語ナムサン方言の録音調査を実施し、7名のインフォーマントについて調査することができた。

対象言語・
調査地
イタリア・サレント方言
於 イタリア共和国(サレント地方)
調査者 山本真司(外国語学部助教授)
ルカ・トーマ(桜美林大学非常勤講師), 田中慎吾(博士前期課程)
実施時期 2005年8月18日~2005年8月31日
実施内容・
成果
イタリアのサレント方言コーパス作成のため、同地方出身者であるルカ・トーマ氏の全面的協力を得て、サレント地方を回りながら方言による会話を録音した。録音数は27、録音時間は総計約8時間半となり、録音への協力者は39名であった。協力者は中高年層が中心であり、基本的に対話形式で自由なテーマで話をしてもらった。その結果は、サレント地方の歴史・習慣・方言についてなど多岐にわたるものであり、言語資料としてだけでなく内容の面においても文化的価値の高いものとなった。
録音方法はICレコーダーを使い、ファイルはWAV形式で保存した(ハードディスク内およびCD―Rに保存)。文字起こしは協力者の1人であるフランチェスカ・パラマー氏を中心として現在進行中である。

対象言語・
調査地
クーイ語
於 タイ国(スリン県)
調査者 太田ワランヤ(博士後期課程)
実施時期 2005年9月12日~2005年9月21日
実施内容・
成果
タイ国のスリン県の県庁、サンカ郡において、クーイ語の物語の録音し、文法調査を行った。