東京外国語大学言語モジュール

Step02 : 否定表現の応用(2) ― 部分否定・完全否定

■ 漢語表現を使った完全否定
 「完全に」「絶対に」といった漢語表現を前に置くことで、否定の意味が強調され、完全否定になります。
 
nhất định (きっと)
không
きっと~しない
 
tuyệt đối (絶対に)
không
絶対に~しない
 
hoàn toàn (完全に)
không
完全に~しない

例)

Anh ấy nhất định không đến.
(彼はきっと来ない)
■ 部分否定
 上では単語を否定詞の前に置いていますが、こうした単語を否定詞の後に置くと部分否定の表現になります。
 
không + hoàn toàn + [動詞]
完全に~するわけではない
 こうした置く位置が入れ替わると意味ががらりと変わる表現は少なくなく、他にも
 
quên + [動詞]
~することを忘れる
 
quên không + [動詞]
忘れて~しない
 
không quên + [動詞]
~することを忘れない、忘れずに~する
といった例があります。
■ 疑問詞を使った完全否定
 「誰」「どこ」といった疑問詞を使った完全否定の場合、疑問詞は目的語の位置に来ます。日本語にも「誰も来ない」「どこにも行かない」などの表現がありますが、ちょうどそれと同じです。
 
không + [動詞] + [疑問詞]
 
chưa + [動詞] + [疑問詞]
(「どこにも~しない」「誰とも~しない」「何も~しない」など)
 この場合、さらに文末に "cả" や "hết" をつけることができます。こうした語も否定の強調の意味を持ちます。
 
không + [動詞] + [疑問詞] + cả
 
không + [動詞] + [疑問詞] + hết
 
chưa + [動詞] + [疑問詞] + cả
 
chưa + [動詞] + [疑問詞] + hết
 

例)

Hôm qua tôi không đi đâu.
(昨日私はどこにも行かなかった)
Hôm qua tôi không đi đâu cả.
(昨日私はどこにも行かなかった)
Chị ấy không nói gì cả.
(彼女は何も言わない)
Chị ấy không nói gì hết.
(彼女は何も言わない)
Chờ đến 3 tiếng nhưng tôi chưa gặp ai hết.
(3時間も待っているのに、まだ誰とも会っていない)
 [否定詞] + [疑問詞] を主語にして文章を作った場合も同様です。

例)

Chẳng ai biết.
(誰も知らない)
Không có gì quý hơn độc lập, tự do.
(独立と自由ほど尊いものは無い)
■ 文末詞を使った完全否定
 文末に強調表現の言葉を置くことによっても完全否定を表すことができます。"đâu" はもともと「どこ」という意味の疑問詞ですが、ここではその意味は消え、「まったく~ではない」という、相手の意見への反駁の意味を持つようになっています。"chút nào" は「少しも」ですから、 "không" と組み合わせると「少しも~ない」という意味になります。
 
không + [形容詞] + đâu
(まったく)~ではない
 
không + [形容詞] + chút nào
少しも~ではない

例)

Không phải đâu!
(違う)
Ý kiến của anh không đúng đâu.
(あなたの意見は正しくない)
Anh ấy không chăm học chút nào.
(彼はちっともまじめに勉強しない)
■ 文全体の否定
 ”không phải là" を文章の前につけることで、その文章全体を否定することができます。否定する文章がもともと否定形であった場合、二重疑問文となります。 "là" は省略することもできます。
 
không phải là + [文章]
 
không phải + [文章]
 

例)

Không phải tôi không muốn đi học.
(学校に行きたくないわけじゃない)
Không phải là chị ấy đi chơi.
(彼女は遊んでいるのではない)