東京外国語大学言語モジュール

「~される」 受動文(1)kena受動文

kena迷惑受動文は主に口語で用いられます。そのため、動詞は普通、接頭辞の付かない形が用いられます。動作主を表す表現は、行為者が問題にならない場合には省略できます。

 

被動作主 (A) kena 動詞 (oleh/dengan 動作主 (B)).「Aは(Bによって)~される」
Pencuri itu kena tangkap oleh polis.
(その泥棒は警察に捕まった。)
Kesian, kawan saya kena tipu dengan seorang perempuan mata duitan!
(かわいそうに、友達は金目当ての女に騙されちゃったんです!)
Dompet saya kena curi dalam kereta api.
(私は電車で財布を盗まれました。(直訳:私の財布が電車で盗まれました。))
動作主を導入する前置詞 oleh/dengan は、動詞の直後であれば省略できます。その場合、動作主と被動作主の区別が曖昧になるので、kena が「~しなければならない」という義務を表す能動文と表面上区別が付かなくなります。能動文なのか受動文なのかは文脈から判断することになります。
Pencuri itu kena tangkap polis.
(①その泥棒は警察に捕まった。(受動文;通常の文脈ではこの解釈) ②その泥棒は警察を捕まえなくちゃいけない。(能動文;通常の文脈ではあり得ない解釈))
Polis kena tangkap pencuri itu.
(①警察はその泥棒を捕まえなくちゃいけない。(能動文;通常の文脈ではこの解釈) ②警察はその泥棒に捕まった。(受動文;通常の文脈ではあり得ない解釈))