時間関係を表す連用節
連用節と主文のさまざまなつながり方のうち、主文の事態が起こる時や続く期間を表すものをまとめて、ここでは時間関係を表す連用節と呼ぶことにします。
時間関係を表す連用節は、動詞の副動詞形の一部と、名詞節用法の形動詞形のさまざまな形によって表されます。
副動詞形によるもの
副動詞形のうち、時間関係を表す連用節を作るものは次の3種類です。
このうち、語尾 -хад は本来、形動詞形語尾 -х に与位格語尾をとった形ですが、現代語では連用節を作るほとんど固定化した語尾として使われますので、多くの文法ではこれを副動詞形のグループに入れて扱っています。ただし、語幹への語尾の付け方に関する正書法上の注意などは形動詞形語尾 -х に準じますので、そちらを参照してください。
【語幹-хад】
【語幹-тал】
【語幹-саар】
時間関係を表すものに限らず、連用節のあとには必要に応じてコンマが書かれる場合もあります。
語尾 -хад をとった連用節は、「主文の事態が発生する時点」を表します。日本語では、「~するとき」に対応しますが、モンゴル語の場合は、過去の「~したとき」も同じ形式で表されます。すでに学習したように、副動詞形は独自のテンスを持ちませんので、過去と非過去のどちらであるかは主文のテンスによって決まります。
хоол идэхэд 食事をするとき/したとき(そのときに主文の事態が発生)
ном уншихад 本を読むとき/本を読むまで(そのときに主文の事態が発生)
語尾 -тал をとった連用節はさまざまな意味を表しますが、このステップで見る用法としては、「主文の事態が終了する限界の時点」を表します。日本語では、多くの場合「~するまで」に対応します。
нойр хүртэл 眠くなるまで(そのときをもって主文の事態が終了)
бүрэн дуустал 完全に終わるまで(そのときをもって主文の事態が終了)
語尾 -саар にはさまざまな用法がありますが、時間を表す連用節を作る場合は、「主文の事態が開始された時点」を表します。日本語では、「~して以来」に対応します。
хөдөө ирсээр いなかに来て以来(そのときから主文の事態が開始)
шинэ амьдрал эхэлсээр 新しい生活が始まって以来(そのときから主文の事態が開始)
この語尾による副動詞形をふたつ繰り返すことによって意味を強調することができます。このとき、ひとつ目の動詞は語幹だけの形になることもあります。
уншсаар уншсаар (ずっと)読み続けて
унш уншсаар 同
副動詞形による連用節の主語
時間関係を表すものに限らず、副動詞形によって作られた連用節の主語は次のように示されます。
ここでは、主文と節の主語が異なる場合がありえる語尾 -хад 及び -тал による場合を例として掲げます。
主文と節の主語が同じ場合は、主文と二重に示すことはせず、これらの語尾に再帰語尾を付けることで主語を表します。
Бат сургуульд очихдоо автобусанд суудаг. バトは(=主文の主語)(バトが=節の主語)学校に行くときバスに乗ります。
Бид нар өчигдөр тасартлаа уусан. 私たちは(=主文の主語)(私たちが=節の主語)酔いつぶれるまで飲みました。
ただし、副動詞形語尾の中にはこのような場合でも再帰語尾をとらないものもあります。どのような語尾がこれに該当するかは、ひとつずつ覚えるほかありません。
このステップで見たものの中では、語尾 -саар によるものは、主語がつねに主文と同一になるにもかかわらず再帰語尾が接続しません。
Би хөдөө ирсээр зургаа хонож байна. 私は(=主文の主語)(私が=節の主語)いなかに来て以来6泊しています。
хөдөө ирсээрээ (×)
主文と節の主語が異なる場合は、節の述語は対格になります。
Намайг сургуульд очиход хичээл дууссан байсан. 私が(=節の主語)学校に行ったとき授業は(=主文の主語)終わっていました。
Бид нарыг тасартал Номин эрүүл байлаа. 私たちが(
=節の主語)酔いつぶれるまでノミンはシラフでした。
一方、不定の範疇にあるものが主語である場合には主格のままにすることもできます。
Би машин иртэл гадаа хүлээж байсан. 私は車が来るまで外で待っていました。(不定)
Би машиныг иртэл гадаа хүлээж байсан. 同
Би аавын машиныг иртэл гадаа хүлээж байсан. 私は父の車が来るまで外で待っていました。(定)
ただし、定の範疇であっても、文脈などから主語であることがはっきりとわかる場合には主格のままになる場合もあります。
また、奪格形で表された主語もそのままの形に置かれます。
Засгийн газраас шинэ элчин сайдыг томилтол түр хамаарагч ажлаа гүйцэтгэх болно. 内閣が新しい大使を任命するまで臨時代理大使が執務します。
このモジュールでは、煩雑を避けるために、副動詞形による節の主語については、原則どおりの部分については逐一説明せず、特別な現象が見られる場合だけを示していくことにします。
名詞節用法の形動詞形によるもの
現代のモンゴル語では、名詞節として使われる形動詞形がさまざまな語尾や後置詞をとることで事実上の連用節を作る形式がきわめて多様に発達していますが、これは、時間関係を表す場合も例外ではありません。
よく使われるものは次のとおりですが、数が多いのでこれらはリファレンスとして活用するようにしてください。→【発音と正書法上の注意】
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形式
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つながり方
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例
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A
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-хаас өмнө
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【V】する前に
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Монголд ирэхээс өмнө モンゴルに来る前に
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-хын өмнө
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【V】する直前に
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орой унтахын өмнө 夜寝る直前に
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-саны дараа
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【V】したあとで
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чамайг явсны дараа 君が行ったあとで
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-санаас хойш
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【V】したあとで
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хоол идсэнээс хойш 食事をしたあとで
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B
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-х үед
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【V】するときに
【V】したときに
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намайг өвчтэй байх үед 私が病気のときに
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-х хүлтэл
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【V】するまで
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үүр цайх хүртэл 夜が明けるまでに
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-х болтол
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【V】するまで
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хүүг бие даах болтол 息子が独立するまで
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-х тутам
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【V】するたびに
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бороо орох тутам 雨が降るたびに
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-х бүрд
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【V】するたびに
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чамтай уулзах бүрд 君と会うたびに
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-х болгонд
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【V】するたびに
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намайг очих болгонд 私が行くたびに
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-х хооронд
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【V】するあいだに
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намайг эм өгөх хооронд 私が投薬するあいだに
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-хтай зэрэг
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【V】すると同時に
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ажил дуусахтай зэрэг 仕事が終わると同時に
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-х завсар
-х завсраар
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【V】する傍らで
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өдөр ажил хийх завсар 昼間働く傍らで
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【V】するあいだに
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гэрийнхнийг хөдөө яваад ирэх завсраар 家族がいなかに行ってくるあいだに
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-х зуур
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【V】する傍らで
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оройн хоол хийх зуур 夕食を作る傍らで
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【V】するあいだに
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хүүхдийг унтаж байх зуур 子どもが寝ているあいだに
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これらは、すでに連用節を作るための形式として固定化しており、主文と節の主語が異なる場合には節の主語が対格になるなど、副動詞形による節に準じます。
ただし、主語が主文と同じ場合の再帰語尾の付け方には注意が必要です。
表の中でAに属する形式は、全体の末尾ではなく前半の【形動詞形語尾+格語尾】の部分の最後に付けます。
Би хоол идсэнийхээ дараа кофе уудаг. 私は(=主文の主語)(私が=節の主語)食事をしたあとでコーヒーを飲みます。
хоол идсэний дараагаа (×)
Bに属する形式は形式全体の末尾に付けます。
Хадбаатар надтай уулзах болгондоо чиний тухай ярьдаг. ハドバートルは(=主文の主語)(ハドバートルが=節の主語)私と会うたびに君について話します。
уулзахаа болгонд (×)