東京外国語大学言語モジュール

文法全体像

1)語形変化をしない
   例えば、「行く」も「行かない」も「行ってしまった」も、下線部「行く」という部分については、ラオス語では同じ語形を使用します。
「行かない」は「否定」、「行ってしまった」は「完了」という文法機能を表す語を「行く」の前後に置きます。つまり「行く+ない」、「行く+しまった」という具合に語を置きます。 例えば、
(1)「行く」は ’ໄປ’
(2)「行かない」は否定辞’ບໍ່’を「行く」の前に置いて’ບໍ່ໄປ’
(3)「行ってしまった」は完了辞’ແລ້ວ’を「行く」の後に置いて’ ໄປແລ້ວ’
2)助詞がなく、語を置いて文を作るので、「語順」が大切
 例えば、「私」「連絡する」「あなた」という3つの同じ語を使う文であっても、「私+連絡する+あなた」と「あなた+連絡する+私」とでは、連絡する人と連絡される人が異なります。これをラオス語で見てみましょう。
 
 「私」は「ຂ້ອຍ」、「連絡する」は「ຕິດຕໍ່」、「あなた」は「ເຈົ້າ」なので、
(4)「ຂ້ອຍຕິດຕໍ່ເຈົ້າ」と置くと、「私があなたに連絡する」となり、
(5)「ເຈົ້າຕິດຕໍ່ຂ້ອຍ」と置くと、「あなたが私に連絡する」となります。
 日本語の助詞「が」や「に」に当たる語がないことも上のラオス語文で確認できるかと思います。
 
3)後ろの語が前の語を限定する
  上記(4)(5)の文はいずれもまず、「誰が」が先に置かれ、「何をするか」というと「連絡する」が続き、「誰に」ということがさらに続きます。つまり、右に行けば行くほど、左の語の内容をより詳しく限定していることがわかるでしょう。