東京外国語大学言語モジュール

047 : 存在詞と指定詞の尊敬形語基式語幹式併記式

まず,存在詞の尊敬形を見てみましょう。尊敬の対象が人か物事かによって存在詞の尊敬形が異なります。

 

存在詞

있다(いる)

없다(いない)

계시다(いらっしゃる)

안 계시다(いらっしゃらない)

物事

있다(ある)

없다(ない)

있으시다(おありだ)

없으시다(おありでない)


尊敬の対象が人のとき,つまり日本語の「いる」にあたる存在詞には特殊な尊敬形계시다(いらっしゃる)を用います。계시다の発音は[게시다]です。「안녕히 계십시오((その場に残る人に)さようなら)」にこの계시다が用いられていますね。これは「お元気で(その場に)いらっしゃって下さい」という意味なのです。「いない」にあたる存在詞については,否定の副詞안を用いて,안 계시다(いらっしゃらない)と言います。

 

尊敬の対象が物事のとき,つまり日本語の「ある,ない」にあたる存在詞の尊敬語は있으시다[이쓰시다](おありだ),없으시다[업쓰시다](おありでない)と言います。

 

ところで,自分より目上の人を尊敬の対象としましすが,日本語とは異なり,身内であっても目上であれば尊敬語を用います。例えば,自分の父母や祖父母,自分の勤め先の上司なども尊敬の対象になります。そのため,家族以外の人に自分の両親の話をするときも尊敬語を用います。日本語では謙譲語を用いるところですね。

(1)이 교수님이 연구실에 계십니다.(李教授が研究室にいらっしゃいます。)
(2)A:할아버지, 계십니까?(おじいさん,いらっしゃいますか。)
 B:아니요. 지금 안 계십니다.(いいえ。今おりません。)
(3)김 선생님은 오늘 오후에 약속이 있으십니다.(金先生は今日の午後に約束がおありです。)
(4)사장님 가방은 사무실에 없으십니다.(社長のカバンは事務室にございません。)

次に指定詞の尊敬形を見てみましょう。

 

指定詞

이다(だ) 이시다(でいらっしゃる)
아니다(ではない) 아니시다(ではいらっしゃらない)

 

이시다は母音で終る名詞の後で이がしばしば省略されます。

(5)선생님은 지금 회의중이십니다.(先生は今会議中でいらっしゃいます。)
(6)사토 씨 고향이 어디십니까?(佐藤さんの故郷はどちらでいらっしゃいますか。)
(7)민호 씨는 공무원이 아니십니다.(ミンホさんは公務員ではいらっしゃいません。)