東京外国語大学言語モジュール

条件法現在形の用法

話し手の願望や希望
J'aimerais bien rencontrer votre sœur. 
(あなたの妹さんに会いたいですね)
J'aimerais bien bavarder un moment avec Kimutaku.
(キムタクとちょっと話してみたいですね)
語気の緩和・丁寧表現
 
現在形でJe veux parler...と言うのではなく、条件法je voudrais parler... と言うことで語気が緩和され、ワンクッション置いた表現になります。とくに注文やお願いをするとき、このje voudrais~「~したいのです」をよく使います。
Je voudrais parler à Antoine, s'il vous plaît.
(アントワヌと話をしたいのですが、お願いします)
Je voudrais échanger ce pantalon, s'il vous plaît. Il est trop petit.
(このズボンを取り替えて欲しいのです。小さすぎます。)
伝聞・推測
 
「~するらしい、~だそうだ」のように伝聞や推測を表します。文の主語はふつう3人称です。
Les victimes de l'attentat seraient américaines.
(テロの被害者はアメリカ人らしい)
Son grand-père serait Elvis Presley.
(彼の祖父はエルビス・プレスリーだそうだ)
過去における未来
 
次の文全体は半過去形pensaitからわかるように、過去の時点に身をおいて、過去のことを述べています。このような文脈で、条件法が接続詞queの後に用いられると、過去における未来の出来事を表します。「殺人者が戻ってくる」というのは過去の時点から見ると、これから起きる未来の出来事なのです。
フランス語の大きな言語コーパスを調べてみると、従属節に出てくる条件法の多くが過去における未来形であることがわかります。
Poirot pensait que l'assassin reviendrait tôt ou tard sur les lieux du crime.
(ポワロは殺人者が早晩、犯行現場に戻ってくるであろうと考えていた)
仮定的な状況
 
<si+半過去形>「もし~であるならば」とともに用いられると、<j'aimerais bien+不定詞>は、「~したいのだけれど・・・」のように、実際には実現しない仮定的な状況を述べることになります。この仮定表現については、カード82で詳しく学びます。
Ah, si j'avais vingt ans de moins, j'aimerais bien me marier avec elle.
(ああ、あと20歳若ければ、彼女と結婚したいのだけれど)