東京外国語大学言語モジュール

半過去形と複合過去形の違い

完了と未完了
 
ところで半過去形と複合過去形が同時に使われると、ちょっと状況が複雑になります。
J'allais sortir, lorsqu'il m'a téléphoné.
(出かけようとしていると、彼が電話をかけてきた)
Hier je ne suis pas allé travailler, parce que j'avais de la fièvre.
(熱があったので、昨日は仕事に行かなかった)
いずれも過去の出来事について述べています。ところが話し手は、「電話をかける」や「仕事に行く」ことを、「電話がかかってきた」と「仕事に行かなかった」というふうに完了した行為としてとらえています。一方、「出かけようとしている」や「熱があった」では、その行為や状態には終結点がなく、未完了の行為です。それゆえ半過去形が用いられます。こうした完了と未完了という考え方は、半過去形と複合過去形の違いを説明するときに役立ちます。たとえば過去の継続的な行為を考えてみましょう。
Quand il était petit, il allait à la plage tous les jours après l'école. (半過去形)
(小さい頃、彼は毎日放課後に海岸に行っていた)
ところが継続的な行為や反復的な行為であっても、その期間や回数が具体的であり、はっきり完了するとわかる場合には、複合過去形になります。
Ils sont restés ensemble pendant cinq ans. (複合過去形)
(彼らは5年間、連れ添った(夫婦であった))
Depuis 1997, ma mère est venue dix fois au Japon. (複合過去形)
(1997年以来、母は10回来日した)