東京外国語大学言語モジュール

　もう少し例文を挙げておきましょう。(5) と (6) は zu不定詞句を主語として，(7) と (8) は目的語として用いている例です。

	(5)	Es freut mich sehr, Sie kennen zu lernen. お近づきになれてとてもうれしいです。
	(6)	Es ist sehr leicht, mit dem Rauchen aufzuhören. Ich habe schon zehnmal aufgehört. 喫煙を辞めるのはとても簡単だ。僕はもう10回も止めたことがあるよ。
	(7)	Darf ich Sie bitten, etwas langsamer zu sprechen? 少しゆっくり話すようお願いしていいですか？
	(8)	Er hat mir versprochen, das Geld heute zurückzugeben. 彼は私にお金を今日返すと約束した。

　(9) と (10) は不定詞句が名詞の内容を，(11) と (12) は形容詞の内容を補う例です。

	(9)	Ich habe nicht den Mut, meinem Freund die Wahrheit zu sagen. 私は恋人に本当のことを話す勇気はない。
	(10)	Papa, wann hast du denn Zeit, mit mir Fußball zu spielen? パパ，僕とサッカーする時間いったいいつあるの？
	(11)	Ich bin schon richtig aufgeregt, sie endlich wiederzusehen. 彼女にやっと再会できることが僕は今からすごく楽しみだ。
	(12)	Der Prüfling war nicht fähig, auf die Fragen schlagfertig zu antworten. 受験者は質問に的確に答えることができなかった。

　ステップ25でda[r]- + 前置詞という形を学びましたが，これと zu不定詞句が結び付く例も見ておきましょう。

	(13)	Sie besteht darauf, ein deutsches Auto zu kaufen. 彼女はドイツ車を買うことにこだわる。
	(14)	Wie bist du darauf gekommen, nach Japan zu kommen? どうして日本に来ることを思いついたの？

　auf ～3 bestehen で「～3にこだわる」という意味ですから，(13) の darauf bestehen は「それにこだわる」という意味になります。そして，zu不定詞句は「それ」の具体的な内容を表しています。auf ～4 kommen は「～4を思いつく」という意味で，(14) の darauf kommen は「それを思いつく」という意味です。そして zu不定詞句が「それ」の具体的な内容を表しています。