東京外国語大学言語モジュール

「なる」「起こる」「だめじゃない」

1. 人称変化
 
Saar (ySiir) 「なる」は語末前長母音動詞です。過去形の1・2人称で語幹が短くなるので注意しましょう。
 
過去形
現在形
b-現在形
命令形
 私
صرت
Sərt
صير
Siir
بصير
bSiir
 
 
 私たち
صرنا
Sərra
نصير
nSiir
منصير
mənSiir
 
 
 貴男
صرت
Sərt
تصير
tSiir
بتصير
bətSiir
صير
Siir
 貴女
صرتي
Sərti
تصيري
tSiiri
بتصيري
bətSiiri
صيري
Siiri
 あなたたち
صرتوا
Sərtu
تصيروا
tSiiru
بتصيروا
bətSiiru
صيروا
Siiru
 彼
صار
Saar
يصير
ySiir
بصير
biSiir
 
 
 彼女
صارت
Saaret
تصير
tSiir
بتصير
bətSiir
 
 
 彼ら
صاروا
Saaru
يصيروا
ySiiru
بصيروا
biSiiru
 
 
 
2. 「~になる」
 <Saar (ySiir) + A + B >の文型で、「AはBになる」と言うことができます。
أخي صار طبيب وإختي صارت معلّمة.‏
(兄は医者になり、妹は教師になりました。 (語彙モジュール))
[ʔax-i Saar Tabiib w-ʔəxt-i Saaret mʕallme]
 
3. 「~して、(期間)になる」
 <Sar-l-接尾代名詞>は後に səne 「年」、ʃahr 「月」、ʔəsbuuʕ 「週」や zamaan 「長い時間」など、一定の期間や時を表す言葉を従えると、「~して(期間)になる」という意味になります。
 
صار لي ساعة عم حاول فيه وما كان يشتغل.‏
1時間もやってるんですけど、動かないんです。
Sar-l-i saaʕa ʕam-ħaawel fii w-maa kaan yəʃtəġel
会話モジュール21「順序について述べる」)
 
4. 「起こる」
 Saar (ySiir) は「(何かが)起こる」という意味でも使われます。
شو صاير معك؟
どうしたんですか。(貴男に何が起こったんですか)
ʃuu Saayer maʕ-ak
会話モジュール26「理由を述べる」)
 
5. 「~できる」「だめじゃない」
 3人称男性単数「彼は~」の<b-動詞現在形> biSiir は「できる」という意味で使われます。
كلّ شي بالتمرين بصير.‍‏
(何事も練習すればできるようになる。 (語彙モジュール))
[kəll ʃii bət-tamriin biSiir]
 否定の maa biSiir は「だめじゃない」という意味で使われます。
 
هادا الحكي ما بصير يا إبني.
そんなこと言っちゃだめじゃないか。
haada l-ħaki maa biSiir yaa ʔəbn-i
会話モジュール26「理由を述べる」)
 
 maa biSiir と2人称の動詞現在形を組み合わせて、maa biSiir + 2人称複数の動詞現在形>とすると、「~しちゃだめじゃない」と相手をとがめたり、注意したりする表現になります。
 
ما بصير تدخّن بهالعمر.‏
その歳でたばこなんか吸っちゃだめよ。
maa biSiir tdaxxen b-hal-ʕəmr
会話モジュール32「禁止する」)