東京外国語大学言語モジュール

ʕam-動詞現在形

1. 進行中の動作
 <ʕam-動詞現在形>は進行中の動作を表します。
راسي عم يوجعني كتير.‏
(頭がすごく痛いです。 (語彙モジュール))
[raas-i ʕam-yuuʒaʕ-ni ktiir]
wəʒeʕ (yuuʒaʕ) は「(身体部位が人に)痛みを与える」という意味の動詞です。発話者がこう言っている瞬間も「頭が痛む」という動作は進行しています。
 
 次の例は、電話で「もしもし、○○ですが…」というときに使われる表現です。
 
وائل عم يحكي معك.
ワーエルが貴女と話しています。
waaʔel ʕam-yəħki maʕ-ek
会話モジュール22「状況についてたずねる」)
 
今まさに ħaka (yəħki) 「話す」という動作をしているところなので、ʕam- がついてます。
 
2. 繰り返し行われる動作
 <ʕam-動詞現在形>は一定の期間、繰り返して行われる動作を表すこともあります。
 
عم تروحي عالجامعة؟ ... عم روح.‏
キミは大学に行ってるの?…行ってるわよ。
ʕam-truuħi ʕal-ʒaamʕa ... ʕam-ruuħ
会話モジュール22「状況についてたずねる」)
 
この会話が交わされるのは、通学中のバスや大学構内である必要はありません。発話の瞬間は行われていない動作でも、日々継続して行われる動作には<ʕam-動詞現在形>が使われるのです。
 
 次は、会話モジュール36「招待する」からの例です。「やせたみたいだけど、どうしたの?」と聞かれ、発話の瞬間は食べていなくても、次のように<ʕam-動詞現在形>で返答しています。
 
مع إنّه عم باكل منيح.‏
ちゃんと食べてるんですけど。
maʕ ʔənn-o ʕam-baakol mniiħ
会話モジュール36「招待する」)
 
なお、ʕam-baakol の例のように、ʕam- に後に<b-動詞現在形 >が続くことがあります。<ʕam- + b-動詞現在形>となるのは、「私」の場合に多いようです。