21世紀COEプログラム 言語運用を基盤とする言語情報学拠点(2002-2006年度)

拠点の目的・必要性

言語理論が従来から言語教育に多大な影響を与えてきたことは周知の事実である。たとえば構造主義の影響を受けた1960年代のオーディオリンガル法をあげることができる。また同様に,情報工学の発達も言語研究に多大な貢献を行ってきた。音声認識や自然言語処理はその典型である。このように,以前から言語学と言語教育学と情報工学の緊密な連関性は認識されてきたが,三学問分野の協働によって新たな学問的成果をあげてきたとは必ずしも言えない。

しかるに本学研究科ではこの三学問分野の協働を十全に達成する条件が備わっている。本学研究科がこれまで行ってきた外国語研究では単に言語理論を追求するだけでなく,本学における言語教育の実践を通して言語理論を見つめなおす眼差しの重要性が説かれてきた。こうした言語研究と言語教育の双方向的なフィードバックは,他大学には見られない本学の独自の学問的特色と言うことができよう。加えて本学では外国語教育のさらなる高度化と効率化を実現するために情報工学との連携が進められている。

この拠点形成では,世界の様々な言語について言語運用データを集積し,情報工学を活用して分析し,「言語情報学」を構築すること,さらにはこの成果を実際的な言語教育へと応用することによって社会的貢献を可能とする拠点を形成することを目的とする。