東京外国語大学言語モジュール

方向補語と目的語との語順

 方向補語を伴う動詞句がさらに目的語を伴う際の語順の大まかな規則は,次のとおりです。
1.単純方向補語“上”“下”“进”“出”“回”“过”“起”“到”
 →目的語は方向補語の後
  走进教室(教室に歩いて入る)
 
2.単純方向補語“来”“去”
(1)目的語=場所を表す語のとき
 →目的語は“来”“去”の前
  天黑了,快回家去。(暗くなったから,早く家に帰ろう。)
 
(2)目的語=移動できる人・物を表す語のとき
 ①未然の出来事の場合→目的語は“来”“去”の前
  端一碗汤来!(スープを1杯持ってきて!)
 
 ②已然の出来事の場合→目的語は“来”“去”の前でも後でも可
  他给我买了一本词典来。(彼は私に辞書を1冊買ってきてくれた。)
  他给我买来了一本词典。(同上)
 
3.複合方向補語
(1)目的語=場所を表す語のとき
 →目的語は“来”“去”の前
  运动员走进比赛大厅去了。(選手は競技場に入って行った。)
 
(2)目的語=移動できる人・物を表す語のとき
 ①未然の出来事の場合→目的語は“来”“去”の前
  你拿出本子来!(ノートを出しなさい。)
 
 ②已然の出来事の場合→目的語は“来”“去”の前でも後でも可
  他从房间里搬出一把椅子来。
  (彼は部屋から椅子を1脚運び出して来た。)
  他从房间里搬出来一把椅子。(同上)
 
 まとめれば,単純方向補語か複合方向補語かにかかわらず,目的語は“来”“去”の前に置かれるのが最も普通の語順で,唯一「既に起こった已然の出来事で,目的語が人や物の場合」には,目的語を“来”“去”の後ろに置く語順も可能になると言うことができます。