使役の-kan動詞が本来的に他動詞でない語根から作られるのに対し、便宜供与の-kan動詞は本来的に他動詞である語根から作られます。
便宜供与の用法の -kan動詞は普通、2つの名詞句を連続して取る、二重目的語構文になります。受益者を前置詞 untuk「~のために」を用いて表すこともできます。その場合の語順は、接頭辞 -kan が付かない文と同じになり、二重目的語構文の場合とは異なるので、注意が必要です。別の言い方をすれば、受益者を untuk を用いて表す場合、-kan はオプショナルになります。
行為者 (A) meN-~-kan 受益者 (B) 目的語 (C).「AがBにCを~してあげる/くれる」(二重目的語構文)
-kan動詞文と-kan の付かない文とを比べてみましょう。
-kan動詞文(二重目的語構文): | Ibu | membuatkan | saya | karipap. | 「お母さんは私にカレー揚げパイを作ってくれた。」 | |
-kan動詞文: | Ibu | membuatkan | karipap | untuk saya. | 「お母さんは私のためにカレー揚げパイを作ってくれた。」 | |
-kan の付かない文: | Ibu | membuat | karipap | untuk saya. | 「お母さんは私のためにカレー揚げパイを作った。」 |
便宜供与の -kan動詞文では、常に受益者を表さなければならないわけではありません。ただし、受益者が表されない場合でも、それは単に音にして明示されないだけで、受益者は存在しています。このような場合、-kan動詞文は便宜供与を表し、対応する -kan の付かない文は単に行為を述べるだけという違いがあります。