非過去を表す終止形
モンゴル語では、過去ではないものは一括して同じ語尾で表されます。ここでは「過去でないもの」をまとめて非過去と呼ぶことにします。
非過去を表す終止形の形は次のようになります。→【発音と正書法上の注意】
【語幹-на】
モンゴル語の非過去の終止形は、過去以外の時間的意味をすべて形の上で区別せずに表します。
Энэ загас мах иднэ. この魚は肉を食べます。(恒常的な動作)
Тэнд том номын сан байна. あそこに大きな図書館があります。(恒常的な状態)
Бүх цэцэг заавал хагдарна. すべての花は必ず枯れます。(一般的真理)
Аав маргааш ирнэ. お父さんは明日来ます。(未来)
状態動詞 бай- 「ある」の場合は、上記の意味に加えて、純粋な現在の状態を表すことができます。
Одоо энд байна. 今ここにいます。(現在の状態)
このほか、習慣を表すこともありますが、あとで学習する別の語尾によって表すほうが一般的なので、あまり多くは見られません。
Эмээ дандаа цай ууна. おばあさんはいつもお茶を飲みます。(習慣)
質問文の形
非過去を表す終止形をとった文を質問文にするには、質問文を作る助詞 уу を使うことは同じなのですが、次のような特別な形をとります。→【発音と正書法上の注意】
【語幹-х】 уу(вэ)?
Чи нөгөөдөр ирэх үү? 君はあさって来ますか?
Чи нөгөөдөр ирнэ үү? (×)
ただし、状態動詞 бай- 「ある」だけは例外となり、テンスに応じた2種類の質問文を使い分けます。
【語幹-х】 уу(вэ)? (未来を表す場合)
【語幹-на】 уу(вэ)? (未来以外を表す場合)
Чи маргааш энд байх уу? 君は明日ここにいますか?(未来)
Тэнд рестран байна уу? あそこにレストランはありますか?(恒常的な状態)
【発音と正書法上の注意】
● 語尾 -на を子音字の2連続で終わっている語幹に接続するとき、-на の直前に必ず短母音字を挟みます。
語幹 унш- 「読む」+-на → уншина
語幹 харагд- 「見える」+-на → харагдана
● 否定形 -х уу (-х вэ) が接続するとき、語幹の種類によっては次の調整が必要です。
子音字で終わる語幹に接続するときは、х の直前に必ず短母音字を挟みます。
語幹 унш- 「読む」+-х → унших
語幹 ид- 「食べる」+-х → идэх
ь で終わる語幹に接続するときは、語幹末の ь を и に変えます。
語幹 урь- 「招く」+-х → урих
語幹 зохь- 「合う」+-х → зохих
● 否定形 -х вэ は、スタイルによっては、 вэ が子音単独で発音される -хав という縮約形になります。この結果、疑問代名詞があるにもかかわらず -х уу と発音しているかのように聞こえる場合が少なくありません。