東京外国語大学言語モジュール

Step1 : 動詞の形と変化

動詞の4種類の形
 
  モンゴル語の動詞は、文の中で使われているとき、(1)述語として文を終える形、(2)述語とはならず名詞や述語を修飾する形、のいずれかの形になっています。そして、(1)と(2)はそれぞれ、意味や機能によって、終止形及び希求形形動詞形及び副動詞形と呼ばれるグループにさらに分けられます。これをまとめると次のようになります。
 
文中での続き方
意味・機能
名称
述語として文を終える形
時間的意味を表すもの
終止形
意思・要求などを表すもの
希求形
述語とはならずに
名詞類や述語を修飾する形
名詞類を修飾するもの
形動詞形
述語を修飾するもの
副動詞形
 
  つまり、モンゴル語の文の中にある動詞は必ず、終止形・希求形・形動詞形・副動詞形のどれかというわけです。ここでは、これらの名称だけをまず覚えてください。なお、希求形は命令形命令・希望形などと呼ばれることもあります。
 
  4種類のグループにはそれぞれいくつかの具体的な形があり、細かい意味や機能を表します。語の文法的な形が語幹に付く語尾によって作られることは前のステップで学習したとおりです。
補助語幹
 
  前の項で見た動詞の4つの形は、必ずそのうちのどれかになっているというものでした。これを言い換えると、文の中にあるモンゴル語の動詞は必ず、上の4つの形のいずれかに含まれる語尾を付けなければならないということになります。
 
  これに対し、ふつうの接尾辞のように語彙的な意味を付け加えるのではなく、接尾辞でありながら、あくまでも文法的な意味だけを付け加える一連の接尾辞があります(接尾辞と語尾の違いについては前のステップで学習したとおりです)。
  このモジュールではこれを補助語幹と呼ぶことにします。補助語幹は、語幹の語彙的な意味を変えるわけではないので本来の接尾辞とは言えず、かといって必ずとらなければならないわけでもないので語尾でもないという中間的な存在です。
 
  補助語幹は、使役や受身などのヴォイスやさまざまなアスペクトを表します。
 
  ここで、文中にあるモンゴル語の動詞の姿を模式図で確認しておきましょう。
 
語幹
(語基+接尾辞)
補助語幹
 終止形語尾
 希求形語尾
 形動詞形語尾
→名詞修飾
 副動詞形語尾
→述語修飾