東京外国語大学言語モジュール

当為・義務 の 表現

当為・義務表現
 
  文が表す事態の成立が望ましいまたは必要であるという話し手の判断を表すのが当為・義務の表現です。これには、それが望ましくないまたは不要であるという判断も含まれます。
 
  当為・義務の表現は、語幹に接続する以下のような文末形式によって表されます。接続にあたっての正書法上の注意は、語幹に接する部分の語尾に関連するステップを参照してください。
 
形式
意味
日本語の類似形式
-х ёстой
義務的だという判断
~するべきです
-х учиртай
当然だという判断
~して当然です
~するものです
-ууштай байна
望ましいという判断
~するべきです
-х хэрэгтэй
必要だという判断
~する必要があります
-хгүй бол болохгүй
-лгүй болохгүй
不可避だという判断
~しなければなりません
-ж болохгүй
望ましくないという判断
~するべきではありません
-х хэрэггүй
-хын хэрэггүй
-саны хэрэггүй
-аад хэрэггүй
不要だという判断
~する必要はありません
-лтгүй
不要だという判断
~する必要はありません
 
  以下、同じ窓にある形式はいずれかひとつで代表させて示します。
 
      Та нар бүгд онц сайн сурах ёстой君たちはみんな優秀な成績を修めるべきです。(義務的だという判断)
      Та нар бүгд онц сайн сурах учиртай君たちはみんな優秀な成績を修めて当然です。(当然だという判断)
      Та нар бүгд онц сайн сурууштай байна君たちはみんな優秀な成績を修めるべきです。(望ましいという判断)
      Та нар бүгд онц сайн сурах хэрэгтэй君たちはみんな優秀な成績を修める必要があります。(必要だという判断)
      Та нар бүгд онц сайн сурахгүй бол болохгүй君たちはみんな優秀な成績を修めなければなりません。(不可避だという判断)
      Та нар дэмий юм ярьж байж болохгүй君たちは無駄なおしゃべりをしているべきではありません。(望ましくないという判断)
      Та маргааш ирэхийн хэрэггүй君あなたは明日来る必要はありません。(不要だという判断)
      Та санаа зоволтгүйあなたは心配しないでください。(不要だという判断)
 
  述語動詞が否定形の場合やコピュラ文の場合には、補助動詞 бай- を挿入し、その語幹に対して接続します。以下、-х ёстой を例として示します。
 
      Та нар бүгд дэмий юм ярихгүй байх ёстой君たちはみんな無駄なおしゃべりをしないでいるべきです。
      Та нар бүгд онц сурлагатан байх ёстой君たちはみんな成績優秀者であるべきです。
 
  これらの形式全体の最後にさらに補助動詞 бай- を置き、それを過去形にすると、過去における判断を表すことができます。ただし、形式にはじめから補助動詞が含まれている -ууштай байна はその補助動詞をそのまま過去形にします。
 
      Та нар бүгд онц сайн сурах ёстой байсан君たちはみんな優秀な成績を修めるべきでした。(過去の判断)
      Та нар бүгд онц сайн сурууштай байсан君たちはみんな優秀な成績を修めるべきでした。(過去の判断)
 
  過去における望ましいという判断は、次の形式によっても表すことができます。
 
      【語幹-х】  бай- 過去形
 
      Та нар бүгд онц сайн сурах байсан君たちはみんな優秀な成績を修めるべきでした。(過去の判断)
 
  ただし、この形式は文脈によってはややニュアンスの異なる後悔の表現になることがあります。