東京外国語大学言語モジュール

モダリティ(2) 感嘆と発見

感嘆と発見の表現
 
  ある事態に対する話し手の驚きや賞賛の気持ちを表すのが感嘆の表現です。一方、その事態を話し手が新たに認識したという状態を表す形式をここでは発見の表現と呼びます。
 
  両者は関連する面がありますので、このモジュールでは同じステップで取り扱うことにします。
感嘆の表現
 
  感嘆の表現は、感嘆の対象が名詞で表される事物であるか、形容詞・動詞で表される事態であるかによって、それぞれ次のような質問文の形をとって表されます。
 
      名詞で表される事物の場合
      【主語】    ямар/яасан    【名詞句】  вэ!
 
      形容詞・動詞で表される事態の場合
      【主語】    ямар/яасан    【事態を表す句】  юм бэ!
 
  ямаряасан はいずれも、本来の疑問の意味ではなく、「何と」という副詞として用いられるものですが、文末の形は本来の疑問の意味に合わせて質問文を作る助詞が現れます。また、主語は省略されることもあります。
  日本語の訳はあまり不自然にならないように適宜工夫する必要があります。
 
      Энэ ямар том машин бэ!  これは何と大きな自動車だろう。
      Яасан зөөлхөн мах вэ!  何と軟らかい肉だろう。
      Та ямар их иддэг юм бэ!  あなたは何とたくさん食べるのでしょう。
      Энэ бөгж яасан үнэтэй  юм бэ!  この指輪は何と高いのだろう。
発見の表現
 
  発見の表現は次の文末形式によって表されます。なお、発見するのはつねに発話の時点で、テンスは必ず現在になります。
 
      述語形動詞形】  юм байна
 
  また、補助動詞のないコピュラ文からもそのまま作ることができます。
 
  日本語では多くの場合、独り言の発見「~んだ」に相当しますが、その事態に対する自分の発見を聞き手に対して伝える場合にも使うことができます。後者の場合の和訳は適宜工夫しなければなりません。
 
      Өө, Казахстан руу Сөүлээс нисдэг юм байна.  へえ、カザフスタンへはソウルから飛行機で行くんだ。(独り言の場合)
      Энэ ном нэлээн үнэтэй юм байна.  この本は相当高いんですね。(聞き手がいる場合)
 
  聞き手がいる用法の場合、助詞 юм は省略されることもあります。
 
      Энэ ном нэлээн үнэтэй байна.  この本は相当高いですね。(聞き手がいる場合)