東京外国語大学言語モジュール

動詞の否定形(2)

動詞の否定形(2)
 
  これまでのステップでも述べてきたように、現代のモンゴル語では、否定の形が平叙文とは異なる独自の使い分けを行なっています。そこで、動詞の否定形(1)ではまず、テンスのみを表す平叙文の否定の形を学習しました。
 
  ところが、モンゴル語には、これまでに学習したさまざまなアスペクト形式は、本来は別個の文法範疇なので切り離して理解できるはずのテンスの部分が過去であるか非過去であるかによって、別々の否定形をとるというやっかいな現象があります。つまり、アスペクトの意味とテンスの意味とが融合した一連の否定形が存在するのです。
 
  そのような複合的な否定形と、対応するアスペクト形式は次のとおりです。
  否定形に含まれる補助動詞の過去形は -сан によるもので代表させて示します。
 
否定形
アスペクト+テンス
 
 -аагүй байна
-ж бай-
非過去
(1)
-сан бай-
非過去
(2)
-аад бай-
非過去
(3)
-саар бай-
非過去
 -аагүй байгаа
-аад бай-
非過去
-саар бай-
非過去
 -аагүй байсан
-ж бай-
過去
(4)
-сан бай-
過去
(5)
-аад бай-
過去
(6)
-саар бай-
過去
 -даггүй байсан
-даг бай-
過去
(7)
 
  否定形の発音と正書法上の注意は、含まれる語尾によって関連するステップを参照してください。
 
  以下に順番に述語部分だけの例を示します。括弧の番号は上の表の番号に対応します。
 
      уншаагүй байна  (1)(現在)読まないでいる (2)(まだ)読んでいない (3)(さっきから)読まないでいる
      уншаагүй байгаа  (3)(さっきから)読まないでいる
      уншаагүй байсан  (4)(そのとき)読まないでいた (5)(そのときまだ)読んでいなかった(6)(その前から)読まないでいた
      уншдаггүй байсан  (7)(そのとき)(恒常的・習慣的に)読むことはなかった