コピュラ文の基本構文
「AはBである」というように、ふたつの要素が対等に結び付けられる文をコピュラ文と呼びます。
モンゴル語のコピュラ文は、もっとも単純な場合、次の構文で表します。
【A:主格】 【B:主格】
つまり、Aに相当するもの(主語)とBに相当するもの(述語の補語)を主格の形でそのまま並べるだけで、文としての述語動詞は表には出てきません。これは、AとBの文法的位置づけが語順だけで示されていることを意味するとともに、時間的には現在の状態を表示するということになります。
Энэ харандаа. これは鉛筆です。
Гэрэл оюутан. ゲレルは学生です。
このように、もっとも単純なコピュラ文では、述語にあたる動詞が表に使われないのでわかりにくくなっていますが、Bはあくまでも述語の補語であって、述語そのものではないという点に注意してください。
一般に、「AはBである」といった場合、AとBの関係には、「AイコールB」という場合と、「Aの属性がB」という場合とがあります。このとき、前者を指定文、後者を措定文と呼びます。
指定文は、AとBを交代させたコピュラ文を作ることができます。さきの例の第一文が指定文です。
Энэ харандаа. これは鉛筆です。 = Харандаа энэ. 鉛筆はこれです。
一方、措定文のAとBを交代させても同じ意味にはなりません。さきの例では第二文がそのような措定文ということになります。
Гэрэл оюутан. ゲレルは学生です。 ≠ Оюутан гэрэл. 学生はゲレルです。
措定文はAの属性がBであることを示す文ですから、あとのステップで学習する形容詞でBを表すこともできます。
モンゴル語では、指定文と措定文の違いが文法的に重要になってきますので、両者の違いをよく理解しておいてください。
基本構文の否定形式
「AはBではない」というコピュラ文の否定形は、指定文の場合も措定文の場合も、次の構文で表します。
【A:主格】 【B:主格】 биш
биш はコピュラ文の否定を第一の役割とする助詞で、Bにあたる名詞類の直後に置かれます。
Хантулга багш биш. ハントルガは先生ではありません。
Тэр самбар биш. あれは黒板ではありません。
コピュラ文の述語と実際の使われ方
このステップでは、もっとも単純な構文について学習しましたが、コピュラ文が実際に使われるときには、さまざまな意味が付け加えられるのがふつうです。つまり、「AはBだった」・「AはBになる」といえば時間的意味を、「AはBに違いない」・「AはBなのだろうか」といえば話し手の判断や疑いをそれぞれ付け加えたことになります。
ここで見たもっとも単純な構文では文の述語そのものが表には見えていませんでしたが、たとえば時間的意味を付け加えるときには、述語動詞がしっかりと表に登場することになります。これについてはあとのステップで改めて学習します。