東京外国語大学言語モジュール

Step1 : 073 : 한다体(叙述形)語基式語幹式併記式

丁寧な言い方を上称形と呼び,上称形の文体に합니다体と해요体があることを既に学びました(Step32,51)。

これに対し,敬意の低い言い方を下称形と呼びます。한다体は下称形の文体です。

 

한다体は大人が子供に話すときや,学校で先輩が後輩に話すとき,友だち同士で話すときに用いられます。また,新聞,小説,論文などの書き言葉としてもよく用いられます。

 

まず,動詞の한다体の叙述形から見ましょう。

 

  基本形 한다体の叙述形
動詞
母音語幹 가다(行く) 간다(行く)
ㄹ語幹 놀다(遊ぶ) 논다(遊ぶ)
子音語幹 먹다(食べる) 먹는다(食べる)

 

動詞の母音語幹

(語基)母音語幹の場合はⅡ-ㄴ다。

動詞のㄹ語幹

(語基)ㄹ語幹の場合もⅡ-ㄴ다。ㄹは脱落する。

動詞の子音語幹

(語基)子音語幹の場合はⅠ-는다。

日本語ではこの基本形と한다体の叙述形を言い分けることが困難です。そこで,한다体は敬意の低い言い方として実際に用いられる形,基本形は한다体,합니다体,해요体などの基本となる形,と区別しておくとよいでしょう。

 

動詞以外の用言を一覧します。また,過去形,接尾辞Ⅰ-겠-の付いた形も示しておきます。これらの한다体の叙述形は基本形と同じです。指定詞이다(だ)は母音で終る名詞の後で이が省略されることがあります。

 

  基本形 한다体の叙述形
形容詞 母音語幹 크다(大きい) 크다(大きい)
ㄹ語幹 멀다(遠い) 멀다(遠い)
子音語幹 작다(小さい) 작다(小さい)
存在詞 있다(いる,ある) 있다(いる,ある)
없다(いない,ない) 없다(いない,ない)
指定詞 이다(だ) 이다(だ)
아니다(ではない) 아니다(ではない)

 

 

  한다体の叙述形
했다(した) 했다(した)
하겠다(するだろう) 하겠다(するだろう)

 

動詞と形容詞の否定形の한다体は上の活用表に準じます。つまり,動詞の否定形はⅠ-지 않는다,形容詞の否定形はそのままⅠ-지 않다となります。

 

 가지 않다(行かない)→가지 않는다[안는다](行かない)

 크지 않다(大きくない)→크지 않다(大きくない)