東京外国語大学言語モジュール

072 : Ⅰ-겠-/-겠-語基式語幹式併記式

-겠-/-겠-は推量,意志,婉曲を表す接尾辞です。하겠다,하겠습니다,하겠어요と活用します。

(語基)Ⅰ-겠-。
(語幹)語幹に接尾辞-겠-を付ける。

-겠-/-겠-の意味を見てみましょう。次の文は推量を表しています。

(1)내일은 눈이 오겠습니다.(明日は雪が降るでしょう。)

推量の意味を未来,蓋然性と説明することもあります。今後の事柄についての推量は時間の面から見れば未来ですし,そうなる確率が高いと見なすところに蓋然性があるわけです。

 

もし,-겠-/-겠-を用いず,「내일은 비가 옵니다.」(明日は雨が降ります。)と言うと,これは断定を表します。天気予報では明日の天気を断定するわけにはいきませんので,-겠-/-겠-を用いて表します。

 

-겠-/-겠-は過去の接尾辞の後にも付きます。このときは,過去の事柄や完了した事柄についての推量を表します。

(2)벌써 결혼했겠어요.(もう結婚したことでしょう。)

次の文は意志を表しています。

(3)서울에 가겠습니다.(ソウルに行きます。)

-겠-/-겠-を用いず,「서울에 갑니다.」(ソウルに行きます。)と言うと,「ソウルに行く」という事実を断定的に述べる文になります。「저는 내일 서울에 갑니다.(私は明日ソウルに行きます。)は旅行や出張などで既に決まっている予定を述べた文ですし,「그 비행기는 서울에 갑니다.(その飛行機はソウルに行きます。)は飛行予定が決定している飛行機について事実通り述べた文です。

 

-겠-/-겠-を用いて,「서울에 가겠습니다.と言うと,「ソウルに行く」ことがまだ決定していないため,事実を断定的に述べることにはなりません。「ソウルに行く」ことの実現を指向する表現で,ある事柄の実現に心が向かうところに意志が認められます。意志を表す-겠-/-겠-の文には副詞꼭(必ず,きっと)がよく用いられます。疑問形にして聞き手の意志を尋ねることもあります。

 

婉曲を表す文を見てみましょう。

(4)잘 알겠습니다.(よく分かりました。)

「かしこまりました」「承知いたしました」と訳してもよい文です。-겠-/-겠-を用いず,「잘 압니다」と言うと,これは断定ですから,「(当然そのことは)よく分かっています」と,はっきり言い切った印象を伴います。控え目さが感じられません。目上の人に承知したことを伝えるときは-겠-/-겠-を用いて断定を避け,婉曲に,控え目に言うのが良いでしょう。-겠-/-겠-を用いた婉曲表現は他にもあいさつの表現によく用いられます。

 

このように,-겠-/-겠-は直接断定することを避け,断定に准じた表現をすることで,推量,意志,婉曲を表します。