東京外国語大学言語モジュール

二重補語

 繰り返しになりますが、カンボジア語では日本語の「を」や「に」のような、「ある語が文の中で果たす役割を示す語」を使いません。
 「より述語と関係の強いものが述語の直後につく」という語順だけで、どの語が述語であるかを区別をしています。
 
 また、前のステップで説明したように、カンボジア語では、動詞は1つの文に1つしか現れないのではなく、いくつでも並べることができます。
 ですから、文の意味をはっきりさせるためには、1つの述語にいくつもの補語をつけたり、前置詞句をつけるよりも、<述語+補語>のセットをたくさん作って並べる方が好まれるのです。
(1)បង្រៀនភាសាខ្មែរខ្ញុំ។
(教える+語+カンボジア+私=カンボジア語を私に教える。)
[ボンリアン・ピアサー・クマエ・クニョム bɔŋriˑən pʰiˑəsaː kʰmae kʰɲom]
(2)ឲ្យចេកទន្សាយ។
(与える+バナナ+うさぎ=バナナをうさぎに与える。)
[アオイ・チェーク・トンサーイ ʔaoi ceːk tʷɔ̀nsaːi]