東京外国語大学言語モジュール

Nがほしいです/Nがほしくありません

これだけは覚えよう
1 「ほしいです」(普通形「ほしい」)は、何かものを手に入れたいと思う話し手の願望を表わします。否定する場合は、「ほしくありません」「ほしくないです」を用います。
 
N1
N2
ほしいです
ほしくありません
ほしくないです
  N1:N2を「ほしい」と思っている主体
  N2:N1が「ほしい」と思っている対象
 
(1)わたしは今コンピューターがほしいです。
(5)わたしはコンピューターはほしくありません。
(6)わたしはコンピューターはほしくないです。
¶N2は、手に入れたい対象を表わします。否定形の場合は「N2が」を「N2は」に変えることが多いです。
2 「ほしい」は、イ形容詞です。活用はその他のイ形容詞と同じです。
3 疑問文ではN1が聞き手や他の人になり、聞き手やその他の人の願望をたずねます。
(2)A:車がほしいですか。
  B:いいえ、{ほしくありません/ほしくないです}。
(7)A:太郎さんは犬がほしいですか。
  B:はい、ほしいです。
4 聞き手や他の人が手に入れたいと思っているものを特定したいとき、「何がほしいですか」「どれがほしいですか」を用います。
(3)A:誕生日に何がほしいですか。
  B:そうですね、新しい自転車がほしいです。
(4)(カタログを見ながら)
 A:どれがほしいですか。
 B:これとそれがほしいです。
5 N1は省略できます。また、N2が何かわかっている場合は、「N2が」を省略することがあります。例文(2)(3)(4)を見てください。
(2)A:車がほしいですか。
  B:いいえ、{ほしくありません/ほしくないです}。
(3)A:誕生日に何がほしいですか。
  B:そうですね、新しい自転車がほしいです。
(4)(カタログを見ながら)
 A:どれがほしいですか。
 B:これとそれがほしいです。
6 次の点に注意しましょう。
・ 聞き手や第三者の願望を直接述べることはできません。推量の形で述べるか(→「~でしょう」~「~と思います」)、たずねることはできます。
(8)太郎さんはコンピューターがほしいようです。
・ 「Nがほしいですか」と目上の人に向かって聞くと失礼になります。(この場合のたずね方については、「余裕があれば」9参照)
・ 願望の対象がもののときは「Nがほしいです」を使いますが、願望の対象が行為のときは、「Vたいです」を使います。(「Vたいです/Vたくありません」、「Vたかったです/Vたくありませんでした」を見てください。)
余裕があれば
7 「Nがほしいんですが」の形で、必要なものを相手に伝え、提供を求めることができます。この場合、求められるのは特別ではないもの、求める相手は当然提供可能と予想される人になります。
(9)A:すみません、白い紙がほしいんですが。
  B:はい。
(10)A:あのう、赤いボールペンがほしいんですが。
   B:はい。
8 動詞「ほしがる」を用いて、聞き手や第三者があるものを手に入れたいと思っていることを表わすことができます。
(11)太郎さんは新しいコンピューターをほしがっています。
¶しかし、「ほしがる」は、ほしいと思う気持ちが態度に現れてみっともないという、批難の気持ちを帯びるので、注意が必要です。
9 目上の人に★ほしいものについて★尋ねるとき
目上の人にほしいものを尋ねるときには、「ほしいですか」と聞くのは失礼ですので、次のような別の言い方を使うのがふつうです。
・一般にほしいものを尋ねるとき、:「○○{は/が}お入り用ですか」
(12) 先生、コンピューターはお入り用ですか。
・目の前にあるいくつかのものから1つをえらんでもらうとき:「どれがよろしいですか」
(13)(先生の目の前にお菓子が入った皿をさしだして)先生、どれがよろしいですか。