これだけは覚えよう
1 「Vてあります」(普通形「Vてある」)は、意図的な働きかけの結果変化したNの状態を表わすときに使います。
N:Vで表わす行為の対象
(3)駅のホームに新しい映画のポスターがはってありました。
2 「Vてあります」は、働きかけをした人が重要なのではなく、変化の結果の状態のみに注目しています。
3 NはVの動作の対象であると同時に「Vてあります」で表わされる状態の主体でもあります。
4 Vは「を(対象)」を取り、対象を変化させる動詞に限られます。「開ける」「置く」「消す」「切る」などがそうです。
5 「Vました」と「Vてあります」には次のような違いがあります。
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Vました
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Vてあります
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行為の叙述
結果の叙述
目的意識の暗示
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○
×
×
|
×
○
○
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¶(7)"は行為を述べ、
(7)
は行為の結果生じた窓の状態を述べています。また、
(7)
は「何か別の行為をするために窓を開けた」という含みがありますが、
(7)"
にはありません。
6 「Vてあります」と変化の結果の状態を表わす「Vています」には次のような違いがあります。
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Vてあります
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Vています
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動詞の種類
現在の状態の叙述
意図的な働きかけ
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対象を変化させる他動詞
○
○
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主体が変化する自動詞
○
×
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(「他動詞」については9を見てください。)
¶(7)は「誰かが窓を開けた」という含みがありますが、
(7)'''
にはそのような含みはありません。
余裕があれば
7 「Vてあります」は、何か目的のために、あることがすでに完了していることを述べるときに使うことができます。この場合、目的語は「を」を取ります。
(8)A:小林さんに来週の予定を話してありますか。
8 動詞によっては、「結果の状態を表わす」ときと「完了していることを表わす」ときの両方があるので、助詞の使い方に注意が必要です。
9 動詞の分類
①「を(対象)」を取る動詞(他動詞)
・対象を変化させる動詞
例:開ける、置く、消す、切る
・対象を変化させない動詞
例:読む、見る、たたく、ける、さわる
②「を(対象)」を取らない動詞(自動詞)
例:開く、こわれる、のびる、閉じる、走る、泳ぐ
ある、いる
なお、Ⅰ②には、移動を表わす「出る、通る、行く」などがありますが、これらは「自動詞」と呼ばれるのがふつうです。