東京外国語大学言語モジュール

接頭辞 ter- (2): meN- 他動詞に対応する ter- 派生語

【3】meN- 他動詞に対応した ter- 派生語
 
 接頭辞 ter- 1つの働きとして、動作対象(被動作主)を主語として「~してしまう,~してしまっている」「~することができる」「無意識に~する」「~し切る」といった意味の ter- 派生語を作ります。
 動作対象(被動作主)を主語とするものとして、他動詞の di- 形としばしば比べられます。他動詞の di- 形が「動作」に着目していると考えられるのに対し、ter- 派生語はその動作による「結果」あるいは「状態」に着目しているといえます。
 
terbawa 「持っていかれる」           (語幹:bawa > membawa「運ぶ,手に持っている」)
terbuka 「開かれている,公開の」              (語幹:buka「開いている」> membuka「開ける」)
terbaca  「読める」           (語幹:baca, membaca「読む」)
terjual   「売り切れる」    (語幹:jual > menjual「売る」)
tidak terhitung   「数え切れない」              (語幹:hitung > menghitung「数える」)
 

※ いくつかの語については、接頭辞 ter- だけでなく 接尾辞 -kan や 接尾辞 -i を伴うものがあります。
 
terpikir, terpikirkan          「思いつく,考えられている」       (語幹:pikir, memikirkan「~を考える」)
tercerminkan      「反映されている」           (語幹:cermin「鏡」)
 
terpengaruh, terpengaruhi            「影響を受けている」       (語幹:pengaruh「影響」)
tidak terobati      「治療し切れない」           (語幹:obat「薬」)
 

※ 以下の ter- 派生語は、前置詞的に用いられることが多くあります。
 
termasuk             「1.含まれている;2.~を含めて」       (語幹:masuk「入る」)
terhadap             「~に対して」    (語幹:hadap > menghadapi「~に直面する」)