東京外国語大学言語モジュール

文の一般構造

アメリカの言語学者ブルームフィールド(1887-1949年)は,文の一般構造について以下のように述べています。
「...[文の組立が2つに分かれる]ような二肢的 (bipartite) 常用文形式 [favorite sentence-forms] は,ふつう叙述文 (predications) と呼ばれている。叙述文においては,より事物的な成分 (the more object-like component)は主部 (subject) と呼ばれ,他の部分は述部 (predicate) と呼ばれる。」(『言語』[三宅鴻・日野資純 訳]173頁,大修館書店, 1962年)
文が「モノとそれに関する出来事」からなると言っても,それが名詞と動詞の組み合わせによって示されるとはかぎりません。たとえば,ラテン語では am-o(私は愛する)のように動詞一語の活用形(1人称単数現在形)で表現することもあります。同様に日本語の「犬だ。」も文と言えます。
「文」を言語普遍的に定義することは,実は大変難しいのです。
なお,モノに関する状態,状態変化を表すのに「形容詞」という品詞を用いる言語もあります。形容詞は,言語によって名詞と類似の性質を持っていたり,動詞と類似の性質を持っていたりします。