東京外国語大学言語モジュール

文法と基本語順

英語の場合,ある出来事において,動作を表す動詞とその動作対象を表す名詞とは,「動詞+名詞」の順であり,この語順はきちんと守らなければなりません。
英語の基本語順(基本文型)として,「SV, SVO, SVC, SVOO, SVOC」(ただしSは主語 (Subject), V は動詞 (Verb), O は目的語 (Object), C は補語 (Complement) といったものを学んだことがあると思います。
一方,日本語では「私がご飯を食べる」と言っても,「ご飯を私が食べる」と言っても,その基本的な意味関係は変わりません。一般的に,文法関係を表す「機能語,機能辞」が豊かな言語では,自由な語順を許す言語が多いと言えます。
それでも,日本語では「私がご飯を食べる」ほうが「ご飯を私が食べる」よりも,普通の言い方ではないか,という気がすると思います。さらに「私はご飯を食べる」ほうが「私がご飯を食べる」よりもいいような気がします。
語順が固定的である言語と,語順が比較的自由である言語とが存在します。ただ,「自由語順」というのは不適切で,実際は,「固定語順でない」ことは「語順による意味の表現」を可能にすることが多く,同じことをいくつかの語順で言える場合には,選んだ語順によって意味が変わり,特定の文脈では,適切な語順を選択する必要があります。