東京外国語大学言語モジュール

037: 従属文 (その2) ― 定動詞の位置 (4)

 ステップ15やステップ33で説明した「文を作る手順」で考えてみましょう。まず分離動詞ですが,ステップ34で学んだように,分離動詞は動詞本体が第2位か文頭に置かれるときだけ前綴りが分離して文末に置かれます。
 
(1)
私は
 
毎日
7時に
起きる
(主文)
 
 
ich
 
jeden Tag
um 7 Uhr
aufstehen
 
 
 
   ┌──────────────┘
← stehen が定動詞として2番目に移動
 
 
Ich
stehe
jeden Tag
um 7 Uhr
auf.
 
 分離動詞でも従属文の中では動詞本体が第2位や文頭に移動しないので,前綴りは分離しません。
 
(2)
(こと)
私が
毎日
7時に
起きる
(従属文)
 
 
dass
ich
jeden Tag
um 7 Uhr
aufstehen
 
 
 
 
 
 
 
|
←従属文で定動詞が後置されるので分離しない
 
 
dass
ich
jeden Tag
um 7 Uhr
aufstehe
 
 次は助動詞構文です。助動詞 wollen と本動詞 studieren のうち,定動詞,つまり主語に応じて人称変化するのはどちらでしょうか。もちろん助動詞の方ですね。
 
(3)
彼は
 
パリで
音楽を
勉強する
つもりだ
(主文)
 
 
er
 
in Paris
Musik
studieren
wollen
 
 
 
 
  ┌────────────┘
← wollen が定動詞なので2番目に移動
 
 
Er
will
in Paris
Musik
studieren.
 
 
 
 
(4)
(こと)
彼は
パリで
音楽を
勉強する
つもりだ
(従属文)
 
 
dass
er
in Paris
Musik
studieren
wollen
 
 
 
 
 
 
 
 
|
← wollen が定動詞なので後置される
 
 
dass
er
in Paris
Musik
studieren
will
 
 最後に従属文が先行する場合の,主文内の語順です。
 
(5)
Da er eine Prüfung hat,
kommt
er nicht mit ins Kino.
 
 
第1位
第2位
 
 
 
彼は試験があるので一緒に映画に行かない。
 
 
(6)
×Da er eine Prüfung hat,
er
kommt
nicht mit ins Kino.
 
 
第1位
 
第3位
 
 従属文を含む全体を一つの文と考えると,従属文が一まとまりで第1位,主文の定動詞 kommt が第2位となって,ステップ5で勉強した「定動詞第2位」の原則が守られていることがわかりますね。(6) のようにすると,従属文が第1位,主語が第2位で,定動詞 kommt は第3位となってしまいます。