東京外国語大学言語モジュール

「~と」「~ということ」

1. 「~ということを知っている」
 「~ということを知っている」と言う場合には、<b-動詞現在形> baʕref や能動分詞 ʕarfaan がよく使われます。「知っている」内容が وقتك ضيّق waʔt-ak Dayyeʔ 「貴男は時間がない」のような文の場合、ʔənn-o がついて<baʕref / ʕarfaan + ʔənn-o ~ >となります。
 
أنا بعرف إنّه وقتك ضيّق.‏
お時間ないのは存じています。
ʔana baʕref ʔənn-o waʔt-ak Dayyeʔ
会話モジュール27「依頼する」)

 疑問詞を含む疑問文には ʔənn-o は使われず、<baʕref / ʕarfaan + 疑問詞 ~ >の文型が使われます。
مالي عرفانة شو بدّي قل لك.‏
((女性が)貴男に何と言っていいのかわかりません。)
[maal-i ʕarfaane ʃuu bədd-i ʔəl-l-ak]
 【語句】 ʔəl-l-接尾代名詞 「私は~に言う」
 
2. 「~と言った」「~と聞いた」
 英語の直接話法と間接話法のような厳密な区別はなく、以下の2つの言い方が可能です。
قالت لي "رح إتّصل فيك".‍‏
(彼女は「貴男に連絡します」と私に言いました。)
[ʔaalet-l-i " raħ-ʔəttəSel fii-ki "]
قالت لي رح تتّصل فيني.‏
(彼女は私に連絡すると(私に)言いました。)
[ʔaalet-l-i raħ-təttəSel fii-ni]
2つめの例はいわゆる間接話法のような使い方ですが、英語のように主節の動詞 ʔaalet 「彼女は言った」と従属節の動詞 raħ-təttəSel 「彼女は連絡する」の時制を一致させる必要はありません。また、2つめの例は、ʔənn-o を使って次のように言うこともできます。
قالت لي إنّه رح تتّصل فيني.‏
(彼女は私に連絡すると(私に)言いました。)
[ʔaalet l-i ʔənn-o raħ-təttəSel fii-ni]
 ʔənn-o の -o はもともと「彼、それ」を表す接尾代名詞なので、ʔənn-i, ʔənn-ak/-ek … というように、従属節の主語にあたる接尾代名詞がつくこともあります。
سمعت إنّك مرضانة. انشالله تحسّنتي؟
( 貴女、病気だって聞いたんだけど、よくなったの? (語彙モジュール))
[sməʕt ʔənn-ek marDaane.nʃaaLLa taħassnti]
عيونك عم تقول إنّك عم تكذّبي عليّي.‏
(貴女の目が、私に嘘をついていると言ってるよ。)
[ʕyuun-ek ʕam-tʔuul ʔənn-ek ʕam-tkazzbi ʕaliyy-i]
 【語句】 kazzab (ykazzeb) 「うそをつく」
(ドラマ『バーブ・ル・ハーラ』第3部, 第16話より)
 
3. 「~と思う」「~と思った」
 「私は~と思う」と言う場合は<bZənn + ʔənn-o ~ >を使います。
بظنّ إنّه ما رح تجي.‏
( 彼女は来ないと思います。)
[bZənn ʔənn-o maa raħ-təʒi]
(ドラマ『バーブ・ル・ハーラ』第3部, 第7話より)
 「私は~と思った」と言う場合は、Zanneet ではなく、fakkart を使うのが一般的です。
فكّرت إنّه سوريا رح تخسر.‏
(シリアは負けると思いました。 (語彙モジュール))
[fakkart ʔənn-o suuriya raħ-təxsar]