東京外国語大学言語モジュール

派生動詞の型

1. 動詞の型
　アラビア語の動詞のほとんどは、「語根」と呼ばれる3つの子音を、以下のⅠ～Ⅹの型のいずれかに当てはめて作られています。日本のアラビア語学では、Ⅰ型を「基本動詞」、Ⅱ～Ⅹ型は「派生動詞」と呼んでいます。
 
動詞の型
語根
例
Ⅰ
　□a□a□
ʃ-ġ-l
شغل
ʃaġal
「占める」
　□ə□e□
ʕ-r-f
عرف
ʕəref
「知る」
Ⅱ
　□a□□a□
ʕ-r-f
عرّف
ʕarraf
「紹介する」
Ⅲ
　□aa□a□
ʔ-b-l
قابل
ʔaabal
「会う」
Ⅳ
　ʔa□□a□ *
z-ʕ-ʒ
أزعج
ʔazʕaʒ
「不快にする」
Ⅴ
　t□a□□a□
ʕ-r-f
تعرّف
tʕərraf
「知り合う」
Ⅵ
　t□aa□a□
ʔ-b-l
تقابل
tʔaabal
「待ち合わせる」
Ⅶ
　n□a□a□
ʃ-ġ-l
انشغل
nʃaġal
「占められる」
Ⅷ
　□ta□a□
ʃ-ġ-l
اشتغل
ʃtaġal
「働く」
Ⅸ
　□□a□□
ħ-m-r
احمرّ
ħmarr
「赤くなる」
Ⅹ
　sta□□a□
ʔ-b-l
استقبل
staʔbal
「出迎える」
* Ⅳ型 ʔazʕaʒ (yəzʕeʒ) ＝ Ⅰ型 zaʕaʒ (yəzʕeʒ) のように、ほとんどのⅣ型動詞が同じ意味を持つⅠ型動詞を持っているので、方言にⅣ型はないとする考え方もあります。
 
2. Ⅰ型の過去形・現在形
　Ⅰ型動詞の過去形は2つ、現在形は3つのパターンがあります。それぞれの組み合わせに明確な決まりはないので、新しい動詞を覚えるときは過去形と現在形の両方をチェックするようにしましょう。　
　語彙モジュールでは、辞書形である3人称男性過去形「彼は～した」のあとに、3人称男性現在形「彼は～する」をカッコに入れて収録しておきましたので、確認してみてください。
型
過去形
現在形
Ⅰ
فعل
□a□a□
□ə□e□
يفعل
yə□□o□
yə□□e□
yə□□a□
 
3. Ⅱ型～Ⅹ型の過去形・現在形
　Ⅱ型からⅩ型の動詞は、過去形と現在形のペアが決まっています。つまり、型さえ身につけてしまえば、辞書形からそれぞれの人称に合わせた動詞の活用を作ったり、初めて出会った動詞から辞書形を導き出したりすることが容易にできるようになるのです。
　Ⅱ型からⅩ型までは、動名詞の型も基本的に決まっています。次の例文では、Ⅱ型からⅩ型までの過去形・現在形・動名詞の例を提示してあります。何度も聞いて、声に出して覚え、それぞれの型のリズムをしっかりと身につけましょう。
型
過去形
現在形
Ⅱ
فعّل
□a□□a□
يفعّل
y□a□□e□
Ⅲ
فاعل
□aa□a□
يفاعل
y□aa□e□
Ⅳ
أفعل
ʔa□□a□
يفعل
yə□□e□
Ⅴ
تفعّل
t□a□□a□
يتفعّل
yət□a□□a□
Ⅵ
تفاعل
t□aa□a□
يتفاعل
yət□aa□a□
Ⅶ
انفعل
n□a□a□
ينفعل
yən□ə□e□
Ⅷ
افتعل
□ta□a□
يفتعل
yə□tə□e□
Ⅸ
افعلّ
□□a□□
يفعلّ
yə□□a□□
Ⅹ
استفعل
sta□□a□
يستفعل
yəsta□□e□