ser,estar などの動詞の属詞として用いられる形容詞は文の主語と性数一致します.
O João é simpático.
(ジョアンはいい奴だ)
 
 
O tempo está húmido hoje. 
(今日は湿った天気だ(cf. B. úmido))
 
 
Estas meninas são muito espertas.
(この女の子たちはとてもかしこい)
 
 
 
 
  形容詞bom「よい」, mau「悪い」の性数変化は不規則です.
 
| 男性単数 | 男性複数 | 女性単数 | 女性複数 | 
| bom | bons | boa | boas | 
| mau | maus | má | más | 
 
  この二つの形容詞は名詞を直接修飾する時,普通は前置されます. 
Bom dia! こんにちは   boa ideiaよい考え (B.idéia)    boas ondasよい波
bons amigosよき友人たち Uma coisa boa de ficar olhando... 見るのによい物
 
   bem 「よく」, mal 「悪く」はbom, mauに対応する副詞です.ついでに覚えてしまいましょう.副詞は文全体を修飾したり,他の形容詞や副詞を修飾するのに用いられます.
A Austrália é bem longe.  オーストラリアはかなり遠い (<bem十分に)
canteiros mal tratados   手入れの悪い花壇  (mal悪く>悪く手入れされた)
 
   名詞の前に置かれた形容詞は,主観的な,あるいは比喩的な意味で用いられる場合があります.grande「大きい→偉大な」,pobre「貧乏な→哀れな」がその例です.
uma casa grande ある大きな家    ⇔  um grande homem ある偉大な男
uma família pobreある貧しい一家 ⇔  um pobre rapaz  ある哀れな青年
 
◆形容詞の複数形の作り方:名詞と同じです.複数形にするときは語尾を次のように変えます.
  ①母音で終わる単語は -sを加える.
   novo新しい → novos  grande大きい → grandes  pequeno小さい → pequenos
  ②語末が -r, -z のものでは -esを加える.
      exemplar模範的な →exemplares  maiorより大きい → maiores  feliz幸福な→felizes
  ③-mで終わる単語では -mを -nsに変える.:
      jovem若い → jovens  ruimひどい →ruins  comum普通の →comuns
  ④-ãoで終わる単語は -ão → -ões  -ão → -ãos  -ão → -ãesのいずれかの変化をする.
    ・ brincalhãoいたずら好きの → brincalhões  chorão泣き虫の → chorões
    comilão食いしん坊の →  comilões
    ・ são健康な → sãos chão 平らな → chãos   vãoむなしい → vãos
  ・ alemãoドイツの → alemães   catalãoカタロニアの → catalães
  (-ão→-õesが多いパターンです.単語によっては3つの語尾のいずれも正しいとされているものもあります:anão小人の→ anãos anões, ancião年寄りの →anciãos anciães anciões,  vilão田舎者の →vilãos vilães vilões)
  ⑤-ilで終わる語
     アクセントのない -il → -eis: difícilむずかしい → difíceis  fácil やさしい → fáceis
     アクセントのある -il →  -is: civil市民の → civis  gentil親切な → gentis
   ・ilのアクセントの有無の見分け方:lで終わる語では,通常その前の母音にアクセントがある時,アクセント記号は使われません.従って,単語の他の位置にアクセント記号がなければ,lの前にアクセントがあります.
  ⑥-al, -el, -ol, -ulで終わる語では-lを-isにする.ただし,-el, -olの-e-と-o-にアクセントがある時は-éis, -óisになる.
     capital 主要な→ capitais  anual毎年の→ anuais  banal平凡な→ banais
    amável 愛想のよい →amáveis  fiel 誠実な →fiéis  espanholスペインの→espanhóis
    azul青い → azuis  
  ⑦-sで終わる語では,sの前の母音にアクセントがある時は -esを加え,アクセントがない場合は単複同形となる.前者の場合,必要に応じてアクセント記号を取る.
     japonês日本の → japoneses  portuguêsポルトガルの → portugueses
    reles卑しい → reles  prestes準備の出来た → prestes
  ・i,uを除いて,sの前の母音にアクセントがある時は,必ずアクセント記号が使われます.ブラジルでは1975年までjaponêses, portuguêsaのような綴り字が用いられていました.
 
◆ 形容詞の女性形の作り方: 男性形と女性形の対応には例外が多くあります.
  ① 無強勢の -oで終わるものは -oを -aに代えます.
     bonitoきれいな→ bonita  muito沢山の→ muita  claro明らかな→ clara  pequeno小さい→ pequena
  ② -u, -ês, -orで終わるものでは,そのまま aを付け加えるのが一般的です.
     cru 「生の」 → crua       nu 裸の → nua            francês フランスの → francesa
     japonês日本の→ japonesa  morador住人の→ moradora  faladorおしゃべりの→ faladora
 ★hinduヒンズーの, zuluズルー族の, cortês慇懃な, montês山の, pedrês斑の, melhorよりよい, piorより悪い, maiorより大きい, menorより小さい, superiorより上位の, inferiorより下位の, multidor偏頭痛の, incolor色のない, sensabor「味のない」などは不変化です. 
  ③ -ão で終わるものは -ã又は -onaに代える.
     são健康な→ sã  alemãoドイツの→ alemã  chorão泣き虫の→ chorona  beirão→ beiroaベイラ地方の
  ④ -eu [ew] で終わるものは -eia [(j(](ブラジルでは -éia [(ja])にする.
     europeuヨーロッパの→ europeia  plebeu平民の→ plebeia  hebreuヘブライの→ hebreia
            次のものは例外です:judeuユダヤの→ judia  sandeu愚かな→ sandia
  ⑤ -éu [(w] で終わるものは -oa にする: ilhéu島民の→ ilhoa
◆男性形が次のような形で終る形容詞は男性形と女性形が同じです.
  ① -a で終わるもの: 
hipócrita偽善の homicida殺人の  indígena 原住民の asceta禁欲の celtaケルト
israelitaイスラエルの agrícola農業の
  ② -e で終わるもの:
   árabeアラブの breve短い doce甘い humildeつましい terrestre地上の torpe曲がった triste悲しい pedinte乞食の
  ③ -l で終わるもの:
   cordial誠実な infiel不実な amável愛想のよい ágil素早い azul青い
  ④ -ar で終わるもの,及び -orで終わる比較級.
           exemplar模範的な ímpar奇数の maiorより大きい superior上位の
  ⑤ 語末にアクセントのない -sで終わる語: reles卑しい simples単純な
  ⑥ -z で終わるもの: audaz大胆な feliz幸福な atroz残酷な
  ⑦ -m で終わるもの: virgem初めての ruim腐った comum普通の
 (例外: andaluzアンダルシアの→ andaluza  bomよい→ boa  espanholスペインの→ espanhola)
◆一部の形容詞の変化には,綴り字に表れない音の変化があります.
 表にもあがっているnovo「新しい」は,男性単数形とそれ以外の形では,以下に示すように語幹の母音の発音が異なります.
    novo [o]  nova [ɔ]  novos [ɔ]  novas [ɔ]
 このようなタイプの変化を示す形容詞は,他に,grosso「分厚い」, morto「死んだ」, torto「曲がった」, posto「置かれた」など男性単数形の強勢母音がo [o] であるものやformoso「美しい」のように -oso ['ozu] で終わる形容詞です.
 同じように男性単数形の強勢母音がo [o]でも,fosco「つやのない」, fofo「ふわふわの」, oco「空っぽの」, tosco「未加工の」,roto「ぼろぼろの」, todo「すべての」, roxo「紫色の」では交替は起きません.
 このような変化を示すタイプの形容詞では,ネィティブ話者であれば,語尾まで聞かなくともはじめのところを聞いただけである程度語形の予想がつくことになります.(狭いo→男性単数形,広いo→複数形または女性単数形)