A
Manang Elsa, kumusta?
エルサさん、元気ですか?
Manang"Manang"は年上の女性に対して使う敬称。親族以外の人にも使うことがある。
kumusta?how are you?"kumusta?"は"how are you?"の意味。「お元気ですか」スペイン語の¿Cómo está?から来ている。
B
I’m OK, Sir.
元気です。
"Sir"の/r/に見られるように、比英語では米英語と同様、母音の後の/r/は発音される。
I haven’t seen you for a while.
しばらく見かけませんでしたが。
英・米英語とは異なり、"while"の/l/は「明るいl」で発音されている(英・米英語では母音の後の/l/は「暗いl」で発音され、ウ/オの音色を伴う)。
A
Oh, I just arrived from Baguio.
ちょうどバギオから戻ってました。
"arrived"の最後の子音連続/vd/のうち、/d/の音が脱落している(比英語の特徴)。後続の"from"とつなげて読まれて、「アライフロム」のように聞こえる(これは米英語・英英語でも見られる逆行同化)。
Baguio"Baguio"はフィリピン北部ルソン島のコンディリェラ行政地域にある都市のこと。
I attended a week-long conference.
1週間かかる会議に出席していたんです。
"attended"の/t/をはじめ、無声破裂音の気音が弱くなる傾向がある。また、"week-long"の"week"の部分の母音は短く発音されている。"conference"の語強勢が最後の音節"-ence"に置かれている(以上、すべて比英語の特徴)。
B
You’re always busy, Sir.
いつも忙しそうにしていますね。
"always"の/l/も「明るいl」で発音されている(比英語の特徴)。以後も母音の後の/l/は「明るいl」で発音されている。
A
That’s why I am looking for you.
だからエルサさんを探していたんですよ。
My unit needs cleaning.
部屋の掃除をしてほしいんです。
"needs"の語末の/dz/は無声化しており、「ニーツ」のように聞こえる(米英語・英英語と共通)。
Please schedule one of the staff to clean my unit.
私の部屋を掃除してくれるスタッフを誰かよこしてください。
"schedule"の語頭の/s/の前に母音が挿入され、「エスケジュール」のように聞こえる。また、"unit"の強勢は米英語・英英語とは異なり、第2音節"nit"に置かれている(比英語基層方言の特徴)。
B
Oh, they’re all deployed for the day.
ああ、今日は全員ずっと別の仕事に配置されているんです。
"they're"や"the"の有声の"th"は有声歯破裂音[d]で発音されている。この特徴はこれ以後の会話中でも現れる(比英語の特徴)。
But I don’t have anything to do this morning.
でも私は今朝なら何もすることが無いですよ。
"anything"のように無声の"th"を含む場合には、無声歯茎破裂音[t]で発音される(比英語の特徴)。
A
Is it OK then if you do the cleaning now?
それでは今から掃除してもらってもいいですか。
Please Manang?
お願いします、エルサさん。
B
No problem, Sir.
かしこまりました。
"problem"の/r/は歯茎たたき音[ɾ]で発音されて、日本語の「ラ行」のような音になっている(比英語の中層・基層方言の特徴)。
A
Can you come at 9 am because there’s a scheduled brown out at 1 pm.
点検のための停電が午後1時にあるので、9時に来てもらってもいいですか。
"can"の"a"は米英語よりも口を大きく開いて発音されており(比英語の特徴)、さらに米英語・英英語と同様、後ろの"you"とつなげて発音されて「カンニュー」のように聞こえる。
brown out"brown out"は通常、「電圧低下による節電」という意味だが、今回は「設備点検によって一時的に停電になっている状態」という意味。
B
Yes, I will go there by and by.
はい、後ほど伺いますね。
by and bylater"by and by"は"later"の意味。「後で」
Your unit is at the third floor, right?
お部屋は3階でしたよね。
A
Yes, it’s room 304. Oh, by the way,
はい、304号室です。あ、ところで、
after the cleaning the house, kindly change the bed sheets for me. They must have been too dusty now.
部屋の掃除が終わったら、ベッドシーツを交換していただけないでしょうか。今すごくほこりっぽいので。
"sheets"の母音は短く発音されて、「シツ」のように聞こえる。また、"too" /tu:/の母音/u:/は異なる音色を持つ[ʊ]になっている。このように比英語では[u:]と[ʊ]の交替が起こりうる(中層方言の特徴)。
And manang, kindly mop the kitchen floor for me?
あとエルサさん、キッチンの床もモップがけしてくれませんか。
B
Ay sir, do you have a trapo?
いいですが、ぞうきんはありますか。
traporag"trapo"は"rag"の意味。「古い布」「ぞうきん」
It’s better than using a mop.
モップを使うよりもうまくいくので。
A
Oh, really? You mean rags?
え?古い布ですか?
"rags"の"a"は米英語よりも口を大きく開けて発音されて、日本語の「ア」に近い発音になっている(比英語の特徴)。
They’re in the dirty kitchen under the sink.
ダーティーキッチンのシンクの下にあります。
dirty kitchensecond kitchen"dirty kichen"は住み込みのメイドが使うキッチンのこと。フィリピンでメイドを雇う家庭の場合、家主のキッチンとメイドのキッチンを分けることがある。
A
I’m happy that you’re always there, manang.
いつもいてくれて嬉しいです。
"happy"の"a"は米英語よりも口を大きく開けて発音され、日本語の「ア」に近い発音になっている(比英語の特徴)。
You’re such a blessing!
とても助かります!
B
You’re welcome, Sir.
どういたしまして。
Place: 廊下
Situation: ジュリオがエルサに部屋の掃除を依頼する。