A
Kenji, how’s your stay in the Philippines so far?
ケンジ、フィリピンの生活は今のところどう?
"far"に含まれる母音の後の/r/は米英語と同様に接近音で発音されている。
B
I missed the Philippines especially the food.
フィリピンの特に食べ物が恋しかったよ。
A
What food have you tried?
どんなものを食べてみた?
ここでは"food" /fu:d/の/u:/が[ʊ]で発音されている。この例のように比英語では[u:]と[ʊ]の自由変異が見られる。
B
Oh, I like the chicken and pork in soy sauce?
ああ、醤油で味付けた鶏肉と豚肉の料理が好きかな。
"chicken"の"ch"は[ts]と発音されており、「ツィキン」のように聞こえる(比英語基層方言の特徴)。
I forgot the name.
名前を忘れちゃったけど。
A
Oh, that must be ADOBO.
ああ、それは恐らくアドボね。
ADOBO"adobo"はフィリピン料理の一つで、肉と野菜を醤油や酢で味付けして炒めたもの。
B
Yah yah. I remember. A-DO-BO.
そうそう、思い出した。アドボ。
How do you cook that again?
どうやったらまた作れるかな。
A
That’s easy to cook.
作るのは簡単よ。
"to"と"cook"に含まれる/ʊ/は米英語・英英語よりも後ろ舌寄りで発音されて、日本語の「オ」に近く聞こえる。
You will need a pork, chicken, a soy sauce, pepper, a bit of vinegar, onions, garlic and laurel.
必要なのは、豚肉、鶏肉、醤油、コショウ、お酢を少々、タマネギ、ニンニク、ローレルよ。
"pork"に含まれる母音の後の/r/は米英語と同様に接近音で発音されている。"laurel"の/r/はたたき音[ɾ]で発音されている(比英語中層・基層方言の特徴)。また、"laurel"の第1音節は二重母音[ɑʊ]で発音され、第2音節は強母音で発音され、強勢が第2母音に移動している。米英語・英英語では強勢が置かれる第1音節が長母音、第2音節が弱母音となり、/lɔːrəl/と発音する。
laurelbayleaf"laurel"は標準英語では「月桂樹」だが、フィリピン英語では「ベイリーフ」の意味。
B
Um, what’s laurel?
ええっと、ローレルって?
この話者は、"laurel"の第1音節を長母音[ɔː]で発音し、強勢の移動が起こらない。
A
Oh, I mean bayleaf.
ああ、ベイリーフのこと。
B
Oh. Simple ingredients.
へえ。材料はシンプルだね。
A
If you want it sweet, put a little sugar.
甘みが欲しい場合は、砂糖を少々加えて。
"little"の/t/と/l/の間に母音が挿入されて、「リテル」のように聞こえる(比英語の特徴)。
B
Okay. How do I do it?
うん。どうやって作ればいいの?
A
Okay, it’s like this. Saute the garlic, onion and ginger.
こんな感じよ。ニンニク、タマネギ、生姜を炒めて。
"garlic"、"ginger"は、第2音節に強勢が置かれている(比英語の特徴)。"onion"の第2音節は米英語・英英語では弱母音になるが、ここでは強母音で発音されてる。また、第1音節と第2音節は共に[ɔ]で発音されている。米英語・英英語では/ˈʌnjən/となる。
You have to wait until it turns brown. Then put altogether the meat, soy sauce, pepper, bayleaf, and then the vinegar.
茶色になるまで待って、そうなったら肉、醤油、コショウ、ベイリーフ、お酢を一緒に入れて。
"it turns"はつなげて発音されて、「イッターンズ」のように聞こえる(米英語・英英語と共通)。"put"の/ʊ/米英語・英英語よりも円唇化した母音で発音されて、日本語の「オ」に近く聞こえる。また、"vinegar"の語強勢が第3音節に置かれている(比英語の特徴)。
Then add a cup of water and just let it boil until the meat is, ah, tender.
水をカップ1杯加えて、肉が、えっと、柔らかくなるまで煮て。
"add"の"a"は米英語と比べて口を広く開けて発音されており、日本語の「ア」に近い音になっている(比英語の特徴)。
B
Oh, I get it. But how do I know if it’s done?
うん、わかった。どうなれば完成したってわかるかな。
"get it"はつなげて発音されて、「ゲリットゥ」のようになっている(米英語と共通で/t/はたたき音[ɾ])。
A
It should be tender at least, um, easy to bite.
少なくとも、肉が柔らかい、えっと、簡単に噛める柔らかさなら完成よ。
"bite"の語末の/t/は省略されている(比英語の特徴)。
B
And if I like it sweet?
もし甘口にしたい場合は?
A
That’s the time, ah, you put the sugar.
その煮ている時に、えっと、砂糖を入れて。
B
That’s quite easy. I’ll try it tonight.
とても簡単だね。今夜試してみるよ。
A
You should invite me the next time you cook, ha?
次に料理をするときは私を招待してね?
B
Oh, sure I will.
わかった、そうする。
I will try that one of these days.
近いうちに招待できるようにするよ。
"one of these days"はつなげて発音されて、「ワンノヴディーズデイズ」のように聞こえる(米英語・英英語と共通)。
Place: 街中
Situation: 日本に長期滞在していたケンジがジャネットにフィリピン料理について尋ねる。